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内容詳細
「私の持つすべての力をこの作品に投入した」
原稿用紙約1000枚、著者が全精力を注いだ、過去と現在を大規模に往還する大型論考がついに文庫化!!
宗教改革の知識を欠いて、近代を理解することは出来ない。
なぜなら、宗教改革は近代、民族、国家、ナショナリズムの起源となったからだ。
「この作品は私の著述群の中で特別の意味を持つ。
表題は『宗教改革の物語』で、扱っているのは中世末期のボヘミア(チェコ)の宗教改革者ヤン・フス(1370頃~1415年)である。
ただし、深層においては、私の過去と未来と現在が、すべて盛り込まれた作品だ。
佐藤優という作家が何を考え、何をしようとしているかに関心を持つ読者に是非読んでもらいたい」
時代状況が大きく変化する時こそ、長く頒布されてきた概念・事象がどう生成し、影響力を持つに至ったのかを分析することが、
個人・中間団体・国家それぞれの段階において、事態を打開する糸口を発見することに繋がる。
フスの「教会論」は、長く頒布されてきたものへの問題提起であり、その後、長く頒布されることとなるものとして、近代と現代の連関を見るには最適だ。
私たちは、“愛のリアリティー”を希求し、希求されている存在である。
『宗教改革の物語』が時代の危機を超えるための、読者にとって人生の実用書たる作品になることを願う。
文庫版まえがき
まえがき――この作品に私の過去と未来と現在の、すべてが盛り込まれている
第一部 ヤン・フス
第一話 コンスタンツの炎/第二話 見えざる教会/第三話 キリスト教徒とは/第四話 カレル大学神学部
第二部 ジョン・ウィクリフ
第五話 ウィクリフ/第六話 ウィクリフにおける教会と国家/第七話 神と民族の契約から、神と個人の契約へ/第八話 目に見えない存在
第三部 宗教改革
第九話 大分裂/第10話 公会議運動/第11話 事後預言/第12話 民族が生まれる/第13話 権威の源泉/第14話 両種陪餐
第四部 近代、民族、そして愛
第15話 近代の黎明/第16話 教会形成/第17話 二つの剣/第18話 終末を意識すること 第19話 悪魔の教会/第20話 新しいエルサレム/第21話 悔悛/第22話 青白い馬/第23話 パウロの再発見/最終話 愛のリアリティー
あとがき――フスの宗教改革は、人間の希望を回復した
主要参考文献
解説 富岡幸一郎