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内容詳細
聖書が説く、慈しみと愛に満ちた全能の神がいるならば、この世にはなぜ悪としか思えないようなことが存在するのでしょうか?この問いは「神義論」と呼ばれ、古代から現代に至るまで、キリスト教神学の重要なテーマであり続けています。ドイツ・パーダーボルン大学の神学者クラウス・フォン・シュトッシュ教授は、アウシュヴィッツのよな道徳悪、地震や津波のような自然悪と向き合いながら、「愛」「善」「自由意志」などをキーワードに、この問題取り組みました。「神がいるなら、なぜ悪があるのか」という問いに、最新の神学がお答えします。
【目次】
訳者まえがき
はじめに
第一章 悪を新しく解釈する
一 悪の拒絶、もしくは悪を悪と見なさない(善化法)
二 悪を過小評価する(無力化法)
三 エイレナイオスの神義論―魂の教育のプロセスへの組み込みによる無力化法
四 「共に苦しむ神」
五 まとめ
第二章 神の性質を考え直す
一 善の内容を考え直す
二 全能の内容を考え直す
三 全知の内容を考え直す
第三章 自然悪の問題と自然法則による擁護論
一 よりよい世界など存在しないという仮説
二 自由を可能にするものとしての自然法則
三 自然法則をよりよくするのは物理的に不可能
四 自然法則をよりよくするのは論理的に不可能
第四章 自由意志―それは幻想か、真実か
一 脳科学の視点からの自由意志への疑念
二 分析哲学の視点からの自由意志への疑念
三 ルターの神学の視点からの自由意志への疑念
四 神義論と自由意志
五 まとめ
第五章 自由意志による擁護論
一 基本理念と構造
二 自由意志の価値性の擁護
三 自由意志を保った場合に苦しみが量的に減少する可能性
四 自由と愛の代償として苦しみがあるのか
第六章 実践的神義論
一 道徳的に考えを進めることの問題
二 実践理性と神義論
三 想起的かつ論証を行う理性
第七章 神義論と神の行動
一 神の特別な行動とこの世における苦しみ
二 歴史的および神義論的感覚の信仰的応答の概要
三 神の行動に関して神義論的感覚から語る基準
四 基準の実証実験としてのアウシュヴィッツ
五 理神論と有神論の間の神義論
第八章 諸宗教との対話における神義論
一 諸宗教における苦しみの問題の素描
二 イスラームにおける古典的解決方策―悪の善化と無力化
三 ファリードゥッディーン・アッタールの神義論
本文引用文献
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- クラウス・V・シュトッシュ, 加納和寛, 関西学院大学出版会