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内容詳細

15世紀には地理上の発見,ルネサンス運動などヨーロッパは大きな転換期を迎えるが,宗教改革(1517年)を機にカトリック世界にも大きな変化が見られた。その動きはアジア日本にも及び東西文化の激しい干渉が生じた。

「オリエント世界」に関心を持つ者は,野心的な政治家や探検家ばかりでなく,知識人,商人,修道士など幅広い人々であった。数世紀に及びアジアに関する地理情報や広範な知識が蓄積されてきたが,それらを踏まえて,著者はヨーロッパの実情,特にイタリアの宗教・思想状況を視野に入れてキリシタン時代の日本を考察し,この時代に特有の世界史的意義を呈示する。

16世紀に入りカトリック世界では,第五ラテラノ公会議(1512-17年)でルネサンスの影響下「霊魂不滅論」が信仰箇条となった。その後,宣教活動を目的にイエズス会が創立され,ルネサンス文化の粋であるヒューマニズム教育の集大成であるイエズス会学事規定(1599年)が成立,これらを背景にしてキリシタン時代には新たな宗教と思想文化が齎され,特に霊魂不滅論については激しい論争が生じた。伝統文化とヨーロッパ文化の折衝が生み出す多様な現象に光を当て,近世日本史の再考を通してもう一つのグローバルヒストリーを示唆した問題作。

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