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内容詳細

これまでトマス研究は『神学大全』や『対異教徒大全』など著作中心であったが、本書はトマスの全著作の6分の1を占める聖書註解により彼の信仰論を考察する。

代表的な註解である『ヨブ記註解』『ロマ書註解』『ヨハネ福音書講解』により主題化されている中心的な思想を考察する。それらの傍証としてトマスの批判的観察力とギリシア教父に関する膨大な知識を示す『カテナ・アウレア』を活用するが、これは四福音書に関する連続的註解であり、22人のラテン教父と57人のギリシア教父の教説が集成され、トマスの説教や神学全体に多大な影響を与えるとともに、カトリックの教養形成にも重要な役割を担い、広く伝播したものである。

著者は第1章で〈信仰〉を検討し、信仰論、恩恵論、神の世界内在を論じる。第2章の〈摂理〉では、予定、摂理、義人の生が考察され、第3章で〈救済〉が扱われて神への愛と認識が主題化される。第4章の〈礼拝〉では、キリスト教的世界観および人間観が総括される。

註解と同時期に執筆された『神学大全』の当該箇所を検討することにより、体系的著作と聖書註解がトマスの全思想と方法を見出すうえで相互補完的であることを明らかにし、トマス研究の方向性を示す画期作である。

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