税込価格:6930円
購入サイトへ 問い合わせる ※在庫状況についてのご注意。
内容詳細
東方教会で「神学者」の名称を与えられた三人のうち最後の人「新神学者シメオン」(949-1022)は10-11世紀に活躍した,霊性史上特異な存在であった。この「新」とは彼の新奇さや異様さを示し,教会の制度を超えて神と人間との直接の交わりを強調したことによる。
本書は彼が修道士たちに向けて,修道生活の細かい注意や生活指針から始まり祈りと信仰の真実まで,修道士の霊性を高めるために行った講話の全訳である。その特徴は己の体験を己の内面を通して伝えることにある。
彼は思春期から神への思いが募り,徹底した信仰を実践したため,世俗の欲望にまみれていた聖職者たちの反感を買い迫害された。しかしそれに動じず神秘主義的な姿勢を崩さず,同僚や若い修道士たちへの指導を貫いた。
シメオンは個人的な神の体験を生々しく語る。自我や個を徹底的に無となし,神的光と霊の働きであるエネルゲイアを受容する器となって限りなく神に近づく。そこでは神的光の経験の根拠となる無限へといざなわれる。彼は人間の知性と魂と身体の調和的働きを重視し,神に寄り添い,それを実現する道を探求した。
今日の急速な情報化と自由の拡張は,宗教を否定してきた近代の世俗化により,人格の支えなきアイデンティティの危機に直面している。神との対話を通して生み出されたシメオンの言葉は,深い知恵に裏付けられ,われわれにとっても宗教を超えた示唆に富む珠玉の名品である。
(出版社HPより)
※教文館出版部の出版物については「出版部」の商品ページに在庫表示がございます。