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内容詳細
本書では近代英国哲学とキリスト教神学との関係を、ロック、バークリ、ハチソン、ヒューム、スミス、リード、J・S・ミルと続く近代英国哲学を統一的に捉える視点として設定する。そして英国経験論のキリスト教神学からの影響を明らかにすることで、従来の英国哲学史観をキリスト教神学への応答という観点から解明し、近代英国哲学の全体像を再検討するための手がかりを提示したい。
近代英国哲学とキリスト教神学はどのように関係するのか、近代英国哲学史における経験や道徳の本質はキリスト教神学との関連においてどう理解されるべきであるのか。これらは本書の核心をなす「問い」である。 (序章より)
第一章 ジョン・ロックにおける理性と信仰 (下川潔)
はじめに
第1節 キリスト教神学における信仰と理性――ロック以前
第2節 『人間知性論』における理性と信仰、ならびに関連する諸概念
――「理性」、「蓋然性」、「同意」、「信仰」、「奇跡」、「啓示」
第3節 理性と信仰の相互関係
第4節 『キリスト教の穏当さ』における信仰
第5節 ロックによる理性と信仰の統合の試み――批判的考察
結 び
第二章 バークリにおけるキリスト教神学 (竹中真也)
はじめに
第1節 啓示の言葉の意味
第2節 記号理論と認識能力
第3節 『サイリス』における三位一体
第4節 回心と自由意志――理性と啓示の関係
結 び――バークリと伝統的キリスト教神学
第三章 ヒューム『人間本性論』とキリスト教神学 (矢嶋直規)
――「外的物体論」と「魂論」を中心に
はじめに
第1節 『人間本性論』第一巻の構成と自然神学
第2節 外的物体論と神の存在証明
第3節 魂論と思惟可能原理
第4節 自然神学と啓示神学
結 び
第四章 アダム・スミスとキリスト教神学 (古家弘幸)
――同情と義務感を中心に
はじめに――スミスと十八世紀キリスト教神学
第1節 スミスにおけるキリスト教倫理としての同情
第2節 義務感に関するスミスの議論
結 び
第五章 スコットランド哲学における科学、哲学、神秘 (長尾伸一)
――リード哲学の形成過程を通じて
第1節 複数世界論と創造の哲学
第2節 スコットランド哲学の性格
第3節 ニュートン的科学における「神秘」
第4節 実在論と神の記号論
第六章 J・S・ミルの倫理思想とキリスト教 (柘植尚則)
はじめに
第1節 良心の世俗化
第2節 人間の理想化
結 び
第七章 ヒュームとカント再考 (ジェレマイア・オルバーグ〔奥山智佳訳〕)
――哲学とキリスト教
第1節 ヒュームとカントの逆説的キリスト教批判
第2節 無秩序から秩序へ
第3節 暴力を産み出す秩序の啓示としての十字架
第4節 ヒュームとカントのキリスト教への近さ
あとがき (矢嶋直規)
事項索引
人名索引