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内容詳細

「カテナ・アウレア」(黄金の鎖)は正式には『四福音書連続註解』と言う。トマスがラテン教父(22名)とギリシア教父(57名)ら79名の教父のテキストから引用した文章をもとにした四福音書全体にわたる註解の集大成である。
膨大な文献と知恵の一大パノラマと言える本書は,キリスト教の精神のみならずヨーロッパの生活と文化を考えるうえでも,他に類を見ない第一級の資料である。
トマスのギリシア教父に対する知見の革新性,註解の量と質の高さにより当代の聖書解釈者や神学者,説教者にとっての宝庫とされ,カトリックの教義形成にも多大な影響を与えてきた。
セクションごとに,冒頭では話の筋がどういうものかを述べ,次に聖句の節を追いながら文学的・歴史的な意味が説明される。そして末尾ではヒラリウスやグレゴリウスなどの教える霊的意味が示される。トマスは実証神学について鋭敏な感覚を備えていたので,典拠に対し忠実に向き合い,全体のテキストを統一的に捉え見事に註解した。
下巻では第13章から最終28章までを註解する。四註解書の中で最大のマタイ福音書の註解が完結し,残りの註解を継続すると,全体で7000頁にも及ぶ一大事業となる。
わが国で本書はほとんど知られていないが,旧来のスコラ学者トマスのイメージを一新する画期的な本註解を通して「いかに生きるべきか」を考える現代の人々に豊かな知恵と勇気が与えられるに違いない。

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