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内容詳細

ヨーロッパ文化の基礎が創られた中世。それは世界史的にどのような時代であったのか。中世史史料には,叙述史料と証書史料の二種がある。証書史料は,日付・印璽・証人を含む王の命令文書であり,イギリスのマグナ・カルタに代表されるように,王権の確立過程や変遷を辿る,西洋中世史研究の最も基本的な重要資料である。しかし,物語性があり脚光を浴びる叙述史料に比べ,証書史料は内容の重要性や信憑性の高さにも拘らず,一般には注目されてこなかった。
本書は,フランスの証書史料を取り上げ,詳細な訳注および解説と分析を加える。さらにはラテン語原文を掲げて,歴史研究の素材を提供するとともに,証書の史料的豊かさを伝えてくれる。
第Ⅰ章では,13世紀の特にルイ8世(1223-26年)の時代に焦点を当て,証書とは何か,その諸類型と時間的変化を日本の中世との比較も盛り込みつつ検討し,王権の拡大と深化の実態を解明する。第Ⅱ章では,ルイ8世に関わる未公刊史料を中心に,重要な証書110通を和訳し,注釈を加える。第Ⅲ章は,王権と封の関係について考察し,中世の国家を人的結合国家として捉え直す。そして後半部を占める第Ⅳ章では,第Ⅱ章で訳出した証書類の原文を掲載する。
フランスでも未刊行の史料をわが国で初公刊する意義深い業績。法制史のみならず,経済史や社会史の研究にも豊富な材料をもたらすとともに,学生には中世ラテン語の基礎的訓練としても役立つ必携の書である。

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