税込価格:4400円
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内容詳細
京都大学の学部生に向けた昭和41年から58年まで18年に及ぶ「中世哲学」講義を全五巻に収録した,他に類書のない貴重な記録である。
講義は明快に語られるとともに,その都度の関心や研究成果を織り交ぜ,中世哲学の意味や意義,そして歴史的に形成されてきた中世哲学の背景など,多様なヨーロッパ中世への招待となっている。
本巻では昭和41-44年度までの4年間の講義を収載する。
「中世哲学とは何か」の関心に基づきキリスト教と哲学の関係についてパウロとヨハネを中心に考察する。またグノーシス思想の意味について,ギリシア哲学や神秘思想,ユダヤ教やパウロなどとの関係を通して詳細に分析する。
後半ではヘーゲルの歴史観を吟味しつつ中世哲学自体の存在を問うとともに,古代哲学と中世哲学との連続と断絶,近世哲学やフマニスムスと中世哲学との関わり,さらにイスラムやユダヤ教との関連,そして神話と啓示の歴史性に関する中世哲学の意義について考える。近世哲学にはない,中世哲学のもつ豊かな地平が示される。
本書は長年の研鑽に裏打ちされた山田晶教授の広範な歴史的視野と独自の着想など,若い読者だけではなく研究者にとっても示唆に富む。また講義の臨場感を味わうのみならず,本書に盛り込まれた有益な事例は現場の教員が講義を組み立てるうえでも参考になろう。
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