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内容詳細

クザーヌス(1401-64)は,生涯カトリック教会の枢機卿や司教,さらには教皇代理として活動しつつ,旅の最中に多くの著作を残した。彼の著作は写本から印刷本としてヨーロッパに広まり,その影響はブルーノをはじめコペルニクス,ケプラー,ライプニッツ,カント,ヤコービ,ハーマン,ダン,レッシングなど思想家から文学者まで多くの人びとに及んだ。

Ⅰ部で著者は,クザーヌスを中世末期の人物として捉え,その多面的な活動について考察する。

Ⅱ部では,クザーヌスの主体性論と近代の主体性概念との違いを検討し,彼の主体性が二重構造をもち,彼が人間精神の能力を高く評価していることを解明する。

Ⅲ部では,彼の認識論は神をいかに把握されうるかにあり,人間の認識能力は本質的に限界があり,絶対的存在からの助力を必要とする。さらに認識対象への接近方法として,表象力,比喩,象徴が強調される。

Ⅳ部では,世界はいかなる根拠で存在するかが問われ,「世界とは神の現れである」ことが明らかにされる。

Ⅴ部では,クザーヌスが教会のあり方をも相対化して他の宗教に対する寛容を説いた事情を明らかにする。

Ⅵ部では,愚者とか無学者を意味するイディオータが弁論家や哲学者との対話により,立場が逆転する姿を通して思想家クザーヌスの本質を見出す。
世界的にクザーヌスへの関心が広がる中,本書は半世紀に及ぶ研究の集大成であり必読の基本文献となろう。

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