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内容詳細

1860年,オスマン帝国統治下にあったシリアの中心都市ダマスクスで発生した宗派抗争事件は,多くの犠牲者と広範囲にわたる商店や家屋,宗教施設の破壊という甚大な被害を出した。この事件は,これまで必ずしも正面から扱われてこなかったが,本書は,事件関係者の回想や記録文書など多くの一次史料を収集し,事件の政治的・外交的側面だけでなく,宗教的・社会的側面にも光を当てる意欲的な研究成果である。

中東におけるキリスト教徒共同体の歴史と性格,イスラーム支配下におけるキリスト教徒の境遇,さらにはオスマン帝国の近代化政策や,欧州列強の角逐と諸教会の関係など,広範な視点から時代背景を解説。その上で著者は,事件に直面した3人のキリスト教徒と3人のイスラーム教徒を選び,人物像や一族の歴史,事件に際してのそれぞれの思考や行動を詳細に分析し,1860年事件の多角的で包括的な解明を試みる。終わりに,事件発生後の顚末をたどり,後世に及ぼした影響をも指摘する。

付録として,未だ写本しかないアラビア語史料の中から重要な二作品を初めて校訂・翻訳し,収録する。
わが国でも知られていないこの事件の全貌を通して,現代の中東をより深く知るためにも,歴史的背景や多くの知見を提供する,示唆に富む書物である。

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