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内容詳細
エディット・シュタイン(1891-1942)は激動のヨーロッパの暗い波乱の時代に、清冽な光を放った。
敬虔なユダヤ教徒の家庭に生まれ、フッサールのもとで哲学探究の道を歩み優れた業績を発表するが、現象学に限界を感じ、現象学的方法によるトマス・アクィナスの研究を展開する。主著『有限なる存在と永遠なる存在』は、中世と現代の思想が対話とともに対峙し、さらに神秘的観想が共振し、独自の思想世界を構築した。しかし2度にわたる教授資格申請論文が不首尾に終わり、ユダヤ人女性の研究者への道は閉ざされた。
シュタインは30歳でカトリックの洗礼を受け、教員生活を送るが、ナチスのユダヤ人迫害により職を奪われる。その後アビラの聖テレサの『自叙伝』に出会い、カルメル会に入会、十字架のヨハネ研究の途上、アウシュヴィッツのガス室で51年の生涯を閉じた。
哲学から霊性、社会思想、人間学、女性論、教育学、神秘思想など、シュタインの多面的な活動は全集27巻に収められ、その類い稀な集中力と明晰な思考に圧倒される。著者はシュタインの生涯と思想を突き動かす一貫した内的動機を〈真理への献身〉として捉え、ハンナ・アレントやシモーヌ・ヴェイユに較べ知られることの少ない彼女の全体像を初めて明らかにする。
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