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内容詳細

イエス・キリストの世界史的意味を、当時の世界帝国の背景から解明する。ガリラヤの人イエスは、エルサレムの思想的な状況をよく知り、かつそれに対して反省的に吟味する立場に立つとともに、また、おそらく、われわれが想像する以上にローマ文化の価値意識や思考様式をよく知っていた。彼はそれらとの内面的対決を経たうえで、イスラエルの伝統のもっとも深い精神に返りつつ、それを新たな方向へ展開させたのである。それゆえイエスは、最後にエルサレムに上り、彼が新しく切りひらいた精神の地平にイスラエルを導こうとしたし、彼の死後、イエスに従う者たちはローマ帝国を思想のうえで掌握して、世界史の展開経路を大きく切りかえてゆくことになる。「ローマ帝国とイエス」という視角設定なくしては、イエスの言葉と行為の世界史的な意味を十分に受けとめることができないだろう。 (本書より)

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