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内容詳細

本巻は初期から晩期に著された八点の商小品集である。初期の三作品は従来アウグスティヌスの影響下にあるものとして評価しない傾向にあったが、むしろエックハルト思想の萌芽とも言うべき活き活きとした思想が脈打っているもので、正当な評価が必要である。『パリ討論集』はとくに第一討論「神において存在と知性認識は同一であるか」に対し「神は知性認識であり存在ではない」として問題視されたが、内容は興味深く斬新で、新たな解釈が期待される。

『三部作序文』は一部しか伝えられていない大作『三部作』の全容の構造を素描したもので、エックハルトの基本的意図を知るために欠かせない作品である。

『シラ書の説教と講解』はラテン語説教の中でも白眉であり、聖書の言葉に触発された彼独自の思索が展開し、円熟期の思想を知るうえで貴重な作品である。

『弁明書』は最晩年に異端の嫌疑をかけられたエックハルトが、それに答えた極めて重要な書である。そこでは彼の思想の精髄である神人合一の説が自身の口から、論難する者どもに、委細を尽くして語られた。「神の子ら」とは神の恩寵によって養子にされることで、人間が神になるのではないこと、また「異端」とは誤りを犯すことではなく、矯正に応ずることなく誤りに固執することなどが主張されている。今後、本作品を読まずにエックハルト思想を語ることは出来ないであろう。本邦初訳。

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