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内容詳細
◆フルベッキがいなければ、日本の近代化はあり得なかった――W・E・グリフィス
◆坂本龍馬や西郷隆盛、高杉晋作をはじめ、明治維新の志士たちが一堂に会して写っているともいわれる「フルベッキ写真」で名高いギドー・フルベッキ。しかしながらフルベッキ本人が果たしてどのような人物であったのか、その詳しい生涯はいまだ謎に包まれたままである。オランダに生まれ、アメリカに渡ったのち、1859年(安政6年)に来日、激動の幕末から明治期に、歴史上に名を残す多くの人物たちと交流を重ね、維新後は岩倉使節団の立案にも携わり、日本の近代化に大きな役割を果たしたその知られざる生涯を、生地であるオランダも含めた、フルベッキゆかりの地での綿密な取材と、新発見・未公開の資料を縦横に駆使して描き出した画期的評伝。
◆幕末の志士たちに影響を与え、明治の元勲大隈重信や「政体書」を起草した副島種臣はフルベッキから直接教えを受け、後に総理大臣となる高橋是清は終生、フルベッキを「師」と仰いだ。日本に滞在すること40年。明治天皇や明治政府に厚遇され、日本で生涯を閉じた、近代日本建設の最重要人物にして、知られざる「哲人」フルベッキとは果たしてどのような人物だったのか――
【目次】
●序章 フルベッキ写真
●第一章 ザイストから希望の国へ
生まれ故郷ザイスト/コッペル/少年時代/若きフルベッキの悩み/新天地/訴訟事件/「私は巡礼者」/アメリカ風オランダ人/まだ見ぬ国
●第二章 長崎のフルベッキ
異境の荒野/英語教師/バイブルクラス/相次ぐ外国人襲撃/済美館/致遠館/「日本だま みがけやみがけ」/義弟への私信/新しい時代へ
●第三章 岩倉使節団
明治新政府への出仕/南校の教頭/使節団の成立/ブリーフ・スケッチ/宗教的寛容に関するノート/「行けや海に火輪を転じ……」/高札撤廃/賜暇休暇
●第四章 お雇い外国人
グリフィスの来日/政府顧問/駿河台時代/国憲第一次草案/勲三等旭日中綬章/日本を去る決断/目立ちたがらない人
●第五章 聖書翻訳
新約聖書/明治学院/詩篇/美しい文語文
●第六章 伝道者
信州伝道/群馬伝道/宣教への情熱/忍び寄る病魔/フルベッキの日本人観/最後のつとめ/「更に高き或るものに達せよ」
●第七章 フルベッキ家の人々
家族の思い出/子孫たちと日本/フルベッキが遺したもの
註/年譜/引用・参考文献一覧/あとがき/取材協力者/人名索引