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内容詳細

これから神学を学ぼうとする人に贈る必読の一冊!
――バルト、ニーバー、ティリッヒ、ブルンナー、モルトマン、パネンベルク、トレルチ、ファン・リューラー―― 組織神学の第一人者であり、牧師、教育者である著者が、青春の日にキリスト教と出会ってからちょうど半世紀。これまでの学びと研究を振り返り、二十世紀の神学を学ぶ上で重要な鍵となる八吊の神学者に焦点を当て、彼らの神学とそれに対する批判を率直に示しながら、自らの神学的立場を表明する自伝的神学入門書。神学の押さえどころ、学習の姿勢、また神学者ごとに著作の読み方・学び方について簡潔に解説。これから神学を学ぼうとする人、さらに学びを深めたいすべての人にお薦めの一冊!近藤勝彦氏は現在、東京神学大学教授、同大学学長。『啓示と三位一体』『キリスト教倫理学』など、著書多数。

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書評

平易な表現で重厚な神学を語る稀有な入門書
近藤勝彦著

二十世紀の主要な神学者たち
私は彼らからどのように学び、何を批判しているか

菊地順

この度、東京神学大学学長の近藤勝彦教授がユニークな書物を出版された。それは『二十世紀の主要な神学者たち』という本である。この表題だけからすると、難解な神学書をイメージするかもしれない。しかし、副題に注目していただきたい。そこには、「私は彼らからどのように学び、何を批判しているか」とある。つまり、本書は、近藤教授のいわば神学的自伝なのである。より正確に言えば、神学的自伝の形をとった神学の入門書なのである。そこが、この本のユニークなところである。
具体的には、著者の約五十年にわたる信仰者、そして神学者としての歩みを、高校時代に受洗を考える中で最初に読み始めた神学書との出会いから、その後、それぞれの時期に出会った神学者たちとの神学的な取り組み(対話)を辿る仕方で振り返りつつ、二十世紀の代表的な神学者八人の神学を紹介する内容となっている。そして、最後に、そうした学びを通して得た「神学の押さえどころ」と、これから「神学を学ぼうとする人々に」対するアドバイスが記されている。そうした入門書であるため、扱われている内容は重厚なものであるが、表現は平易であり、非常に読みやすい書物となっている。その背景には、本書が公開夜間神学講座や大学院の授業で語られたものをベースにしていることにもあるようである。
本書で取り上げられている神学者は、カール・バルト、ラインホールド・ニーバー、パウル・ティリッヒ、エーミル・ブルンナー、ユルゲン・モルトマン、ヴォルフハルト・パネンベルク、エルンスト・トレルチ、ファン・リューラーの八人である。著者は、それぞれの神学者から何を学んだか、また学びながらもどこに疑問を抱き、それゆえに批判せざるを得なかったかを、非常に分かりやすく論述している。その個々の内容についてはここで扱うことはできないが、しかしこうした対話は、対象としている神学者の神学を語るだけではなく、それ以上に、著者自身の神学を語ることでもあり、そこがまた大変興味深い。
たとえば、著者は、バルトとの対話においては、バルトを批判し、「神の言葉は歴史的啓示として歴史化していません。つまり歴史的な啓示から神を理解していないのです」(三八頁)と述べ、またトレルチとの対話の中では、「私はむしろ歴史的現実を把握する歴史の立場とキリストの神性認識において成り立つ神学的思惟とを相互浸透的に捉える意味での『歴史神学的方法』を求め続けています」(一四七頁)と述べ、歴史に対する深い関心を示している。
また著者は、「神学の押さえどころ」では、神学の重要な論点について述べているが、これも著者の視点を示すものであろう。そこには「神が神である」ことの認識、「イエス・キリストの神人格」、「神の契約意志」、「贖罪」、「伝道」、信仰による「生活」や「世界のあり方」の六点が挙げられているが、これはすべて著者の他の書物を想起させるものである。
最後に、著者は、これから神学を学ぼうとする人たちのためにアドバイスを記しているが、その初めに、「聖書を折りに触れて開き、折りに触れて祈る信仰の生活があることが神学を学ぶ必須の前提です。……教会生活における奉仕の働きも重要です」(一七八頁)と述べ、神学を学ぶ者の姿勢を問題としているが、これも大切な指摘であろう。
このように、本書は著者の神学的自伝の形をとった神学の入門書であるが、これはまた、すでにある程度神学を学んだ者にも、二十世紀神学の全体を見通すことのできる有益な本である。そのため、本書は、神学を志す人たちにお薦めするだけではなく、神学に関心のある信徒の方々、また牧師の先生方にも是非お薦めしたい本である。また著者からは、今後機会があれば、二十世紀以外の神学者たちとの対話も是非お聞きしたいものである。
(きくち・じゅん=聖学院大学チャプレン・教授)
(四六判・一九六頁・定価一九九五円〔税込〕・教文館)
『本のひろば』(2011年8月号より)