税込価格:6600円
購入サイトへ 問い合わせる
※在庫状況についてのご注意。

内容詳細

パウロ書簡を起源として、救済論の一側面として発展した「神の子とする恵み」の教理。
福音の家族的側面が持つ救済の意味を、宗教改革期前後の信仰告白文書を丹念に検証しながら再発見する!
歴史神学的であると同時に、牧会的視点も加味した渾身の研究。

「本書を世に送り出すにあたり筆者は、本来滅びに値する者であった私たちを「子」として救う神の主権的恩恵への頌栄として、書名を『神の子とする恵み』とした。「子とする」と能動態にすれば神の恵みの「御業」が強調され、「子とされる」と受動態にすれば「子」とされる者の「立場」に焦点が当たる。「神の子」概念の基礎となるギリシア語の単語υἱοθεσία(ヒュイオセシア)の語義に照らせば、どちらの表現も可能でそれぞれに意義があるのだが、この概念が神の一方的な恵みを強調するものであることに加え、「子とする御霊」(ロマ八・一五)という聖霊の呼称が定着していること、信条史において重要な役割を担っている『ウェストミンスター信仰告白』が「子とすること」と表現していることにも鑑みて能動態を採用した。このように本書名には、私たちを子とする「神の恩恵の主権性」を強調する神学的意図が込められている。」(「はじめに」より)

【目次】

はじめに
凡例
略号一覧

第1章 序論
1.1 「神の子」概念の聖書における理解
1.2 「神の子」概念をめぐる昨今の議論
1.3 過去の神学史における「神の子」概念の取り扱い
1.4 本研究の意義

第2章 カルヴァンの「神の子」概念理解
2.1 カルヴァンの著作における「神の子」概念の使用
2.2 神学的枠組み
2.3 結語

第3章 信仰告白文書──カルヴァン以前
3.1 『六十七箇条提題』(ツヴィングリ、1523年)
3.2 『大教理問答』、『小教理問答』(ルター、1529年)
3.3 『四都市信仰告白』(ブツァー、1530年)
3.4 『第一スイス信仰告白』(ブリンガー、レオ・ユート、1536年)
3.5 第一グループ(カルヴァン前の文書)の分析

第4章 信仰告白文書──カルヴァンをめぐって
4.序 16世紀のジュネーヴにおける家庭生活
4.1 『キリスト教綱要』(初版)(カルヴァン、1536年)
4.2 『ジュネーヴ教会信仰告白』(カルヴァン、1536年)
4.3 『ジュネーヴ教会信仰問答』(カルヴァン、1541/42年)
4.4 『ジュネーヴ協定』(カルヴァン、1551年)
4.5 『ジュネーヴ英語教会信仰告白』(ウィッテンガム、カルヴァン監修、1556年)
4.6 第二グループ(カルヴァン関連文書)の分析

第5章 信仰告白文書──カルヴァン後
5.1 『スコットランド信仰告白』(ノックス、1560年)
5.2 『ハイデルベルク信仰問答』(1563年)
5.3 『第二スイス信仰告白』(ブリンガー、1566年)
5.4 『三十九箇条』(英国教会の信仰箇条、1571年)
5.5 『ドルトレヒト信仰基準』(1618-19年)
5.6 『ウェストミンスター信仰告白』(1647年)
5.7 第三グループ(カルヴァン後の文書)の分析

第6章 「神の子」概念研究の総括と展望
〔第一部〕 歴史的課題──宗教改革期信条史における「神の子」概念の位置づけ
6.1 カルヴァン前後の歴史的流れ全体の概観
6.2 信仰告白文書の文脈的性格(Contextual Nature)
6.3 『ウェストミンスター信仰告白』第12章の意味を再考する
6.4 結語
〔第二部〕 神学的課題──信仰告白文書における「神の子」概念の神学的機能
6.5 パウロの「神の子」概念(ヒュイオセシア)との比較
6.6 「神の子」概念に関連する重要教理
6.7 信仰告白文書中に「神の子」概念があることの神学的利点
6.8 「神の子」概念の適切な提示方法
6.9 結語

附論 遠景

あとがき
文献リスト

在庫表示は概要となります。詳しくは「問い合わせる」ボタンから直接出版部にお問い合わせください。