税込価格:4180円
購入サイトへ 問い合わせる
※在庫状況についてのご注意。

内容詳細

慰めの共同体を造り上げよう!

パウロが「慰めの共同体」としての教会を造り上げるために書き送ったコリントの信徒への手紙二。
パウロへの誤解に対する弁明や献金の勧め、信仰者にとっての苦難と試練の意義など、コリントの教会が抱えたさまざまな課題に対応するパウロの姿から、現代の教会が「慰めの共同体」として生きる道を分かりやすく語る。
キリスト教ラジオ放送FEBC で語られた聖書講話を収録。

【目次】
第1章1─2節 手紙を書き続ける使徒
第1章3─7節 慰め豊かな神
第1章3─7節 慰め豊かな交わり
第1章8─11節 神にのみ望みをかけて
第1章12─14節 神の恵みのもとに
第1章15─22節 神の確かさ
第1章23─24節 喜びへの協力者
第2章1─4節 涙の手紙
第2章5─11節 赦しと励ましとを
第2章12─17節 私たちは香りを放つ
第3章1─3節 キリストの書かれた手紙
第3章4─11節 文字は殺し、霊は生かす
第3章12─18節 栄光から栄光へと生きて
第4章1─6節 神の言葉を曲げず
第4章7─15節 土の器に盛られた宝
第4章7─15節 死に打ち勝ついのちに生きる
第4章16─18節 見えないものに注ぐまなざし
第5章1─10節 天にある住みかを見よ
第5章1─10節 主のもとに住むことを願い
第5章11─15節 私たちは誰のために生きるか
第5章16─21節 キリストの和解の使者として
第6章1─10節 今こそ救いの日
第6章1─10節 無一物のごとく富に生きる
第6章11─13節 こころを広くせよ
第6章14節─第7章1節 神の神殿の聖さに生きる
第7章2─4節 信頼と喜びに満ちて
第7章5─16節 恐れに勝たせていただき
第7章5─16節 みこころに適う悲しみ
第7章5─16節 生き生きと真実に生きて
第8章1─7節 豊かないのちと生活
第8章8─15節 私たちを生かす主の貧しさ
第8章16─24節 愛と誇りの証し
第9章1─15節 惜しまず差し出すこころ
第9章1─15節 慈しみの結実
第9章1─15節 ますます盛んなる奉仕
第10章1─6節 神に由来する力
第10章7─11節 ひとの真実を見る目を
第10章12─18節 限度を超えて誇らず
第11章1─6節 自分を汚すな
第11章7─11節 とらわれずに生きる
第11章12─15節 偽装に生きず
第11章16─33節 労苦に生きる
第11章16─33節 弱さに生きる
第12章1─10節 神の啓示はすばらしい
第12章1─10節 弱いときにこそ強い
第12章11─18節 少しも引けを取らず
第12章11─18節 同じ模範を与えられて
第12章19─21節 あなたがたを造り上げるために
第13章1─4節 キリストは強い方
第13章5─10節 信仰者の自己吟味
第13章11─12節 保て、平和を
第13章13節 祝福の確かさのなかで
あとがき

在庫表示は概要となります。詳しくは「問い合わせる」ボタンから直接出版部にお問い合わせください。

書評

<本のひろば2021年10月号>

教会への確かな信頼はどこから生まれるのか?
〈評者〉菊池美穂子

 ここにわたしの牧会者がいる。読み終えた時、そう思った。
 神学校を卒業して五年目に入った。教会に遣わされ、教会のこと、自分自身のこと、神学生時代には思い至ることのなかったさまざまな思いがある。あなたの思いを聞いてくれる人はいるだろうか。
 この「コリントの信徒への手紙二」には、人間としてのパウロのありのままの思いが語られる。自分の身をさらけ出すようにして語られたパウロの言葉が、この著者を通して届けられたことで、わたしを牧会してくれた。まるでパウロと著者と、二人の伝道者に牧会を受けているように。わたしたちはこうやって神の恵みに生かされたとでも語っているように、伝道者としての生きざまを見せてくれる。
 パウロが置かれた状況は、決して単純なものではなかった。自分が心注いで造ったコリントの教会から信頼を失い、使徒としての自分の立場を疑われる中、自分は信用できる伝道者なのか、自分のことについて手紙を書かなければならないのである。
 自分だったら教会にも自分にも失望してしまいそうなところで、パウロの言葉は、わたしの想像を見事に裏切ってくれる。パウロは、自分に難問を投げかけるコリントの教会が聖なる教会であることを疑わず、あなたがたを誇りにしていると、厚い信頼を寄せる。そして自分自身についても、落胆しません、呻きつつも、いつも心強いと言うのである。
 パウロの言葉は、コリントの教会に対しても、そして自分自身に対しても光に満ちている。それは、イエス・キリストがあなたがたの内におられる、パウロはここにしっかり立っているからだ。
 今から十数年前、まだわたしが信徒の頃、この著者の説教に出会い、教会に対する明るい確かなまなざしと慰めはどこから来るのかと、この説教者の言葉の響きに心躍った。それは今も変わらない。信じる者の確かさと明るさがある。「あとがき」にはこう記されていた。
 「この手紙は、とてもユニークです。いくつかの手紙の断片を綴り合わせたものですが、パウロのパーソナリティがいきいきと語り出されており、このような文章が聖書の一文書として愛読されてきたことは神の恵みとしか言いようがありません。私も喜んでさまざまな機会に説いてまいりました。またひとりのキリスト者、ひとりの牧師として、いくたびこの手紙を開き、パウロと対話し、慰められてきたことであろうかと思います。92歳の誕生日を迎えて、改めて感謝しています。長い人生の同労者でありましたパウロの言葉を読むと、自分のこれまでの歩みをまざまざと
思い起こすのです」(445頁)。
 この説教者の言葉の明るい響きと確かさ、教会と自分への愛のまなざし、それは、パウロの言葉を聞き続けたこと、そして、この御言葉を共に聴いて生きた教会の存在があったのだ。この説教者の秘密をまた一つ知ることができた。わたしも、わたしの良き牧会者としてこの本を手元におきつつ、教会で神の恵みに生かされたいと願う。

菊池美穂子(きくち・みほこ=キリスト品川教会副牧師)