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内容詳細
なぜキリスト教でなければならないのか?
世俗化・脱宗教化した現代世界に、キリスト教信仰の真理性を鮮明に語るのと同時に、教会に不断の改革を求め、キリスト教の自己変革を追求する試み。多次元的な諸宗教との軋轢が起こる現代社会に生きる私たちに、確固たる伝道的基盤を提示してくれる画期的な書。
「啓示の真理の正当性や権利を教会の外のさまざまな文脈において主張することは、それらの諸文脈の中にある問いに対して答える意味において、教会の外にある問いに対する『回答する神学』を試みることであり、また教会の外にあるさまざまな文脈にすでに存在している既成の解答に対して、それと異なる啓示からの解答を示すことによって、信仰への回心を迫る『論争的神学』を試みることでもある。」(本文より)
【目次】
はじめに
序章 弁証学の課題と方法
1 弁証学の定義
2 弁証学の時代的要請
3 組織神学の構成要素としての弁証学
4 ブルンナーとバルトの弁証学をめぐる論争
5 弁証学の方法
第一部 人間学の文脈におけるキリスト教の弁証
はじめに
第一部の意味
第一章 近・現代におけるキリスト教の弁証の概観
第二章 無神論の挑戦、その根拠と残された問題
1 「宗教」の人間学的還元と残された問題
2 カール・バルトのフォイエルバッハ批判とその不足
3 「自由の無神論」とその支持基盤の問題
4 「反抗的人間」の宗教的基盤
第三章 「人間の条件」(Conditio humana)を求めて
1 「哲学的人間学」と弁証学的可能性
2 シェーラーにおける「世界開放性」(Weltoffenheit)
3 プレスナーにおける「脱中心性」(Exzentrizität)
4 ゲーレンにおける「欠陥生物」(Mängelwesen)とその「行為」
5 弁証学的な批判的考察
第四章 人間における神的なものへの憧憬
1 関係的存在としての人間とより大いなるものへの憧憬
2 休息と希望からの論証
3 不安と自己意識の成立
4 罪の心理学と罪の神学
5 死の現実とそれに耐えること、ならびにその先を問う人間
6 意味の問題と宗教的次元
第二部 歴史の文脈におけるキリスト教の弁証
はじめに
第二部の意味
第一章 歴史の経験と歴史意識
1 「歴史」の語義
2 歴史叙述と歴史意識
3 コスモスタイプと歴史タイプ
4 世界の歴史性と歴史的宗教
5 歴史の恐怖をどう克服するか
6 歴史的救済を求めて
7 歴史解釈と歴史観の問題
第二章 近代歴史哲学の成立と衰退
1 近代歴史哲学の成立
2 ヘーゲルの歴史哲学における隠された歴史神学
3 進歩主義とその崩壊
4 歴史主義の歴史哲学──ディルタイとトレルチ
5 アンチヒストリスムス革命と実存の歴史性
6 フランクフルト学派の批判理論と隠された歴史神学
第三章 歴史哲学のアポリア
1 歴史の意味の問題
2 歴史の目標と力の問題
3 歴史の主体の問題
4 進歩の理念
5 アポリアの下での小さな歴史哲学の試み
第四章 歴史の神学に向かって
1 「歴史的宗教」と「歴史的啓示」
2 「歴史の主」としての神
3 歴史の意味とキリストの贖罪
4 救済史としての歴史の神学
5 歴史にとっての終末論の意味
第三部 近代世界の文脈におけるキリスト教の弁証
はじめに
第三部の意味
第一章 「近代世界とプロテスタンティズム」という問題
第二章 マックス・ヴェーバーの問題提起
1 ヴェーバーにおける近代的生活形成とプロテスタンティズムの関係、ならびにその問題性
2 「呪術からの解放」とその宗教的基盤について
3 「人格の自由」をめぐって
第三章 エルンスト・トレルチの格闘
1 トレルチにおける「近代世界とプロテスタンティズム
2 「近代の危機」と「新プロテスタンティズムの教会政策」
第四章 パウル・ティリッヒにおける「プロテスタント時代」批判
1 第一次世界大戦後の時代感覚
2 「プロテスタント時代の終焉」
3 「プロテスタント原理」
4 「プロテスタント原理」の問題性
第五章 ヴォルフハルト・パネンベルクにおける「近代成立史」の問題
1 パネンベルクの一貫した「近代成立史」の理解
2 ディルタイとラブ
3 トレルチの見解に対するパネンベルクの相違と誤解
4 パネンベルクの見解における問題点
第三部の結語
第四部 新しい日本の形成の文脈におけるキリスト教の弁証
はじめに
第四部の意味
第一章 「日本」の歴史性と「日本学」の方法
1 「日本」の歴史性と「始源論的方法」の誤り
2 「日本学」の諸説と神学的視点
第二章 日本の近代
1 屈折した近代化
2 日本の近代化における「非呪術化」について
第三章 近代日本におけるキリスト教
1 日本とキリスト教との出会い
2 伝道者としての植村正久の闘い
3 内村鑑三における「日本的キリスト教」
4 海老名弾正における「基督教の日本化」と「日本の基督化」
第四章 近代日本における思想の中の近代
1 西田幾多郎と日本の近代市民社会
2 和辻哲郎と日本の近代
第五章 新しい日本の形成
1 日本近代化の課題──丸山眞男と南原繁
2 新しい日本の形成とキリスト教
第五部 世界共通文明の文脈におけるキリスト教の弁証
はじめに
第五部の意味
第一章 信仰と理性
1 近代的理性による信仰の排除
2 ティリッヒによる「存在論的理性」の回復とその問題点
3 パネンベルクにおける歴史的理性と信仰
4 信仰による神認識と理性の理性性
5 真理概念からの可能性
第二章 市民社会とキリスト教
1 憲法的諸価値とキリスト教
2 デモクラシーとキリスト教
3 ヴォランタリー・アソシエーションとキリスト教
第三章 ヒューマニズムとキリスト教
1 第一次世界大戦直後のエピソード
2 「技術社会」におけるヒューマニズム化の闘い──フロムの場合
3 シュヴァイツァーの「生命への畏敬」とその問題
4 ヒューマニズムの「終焉」とキリスト教の「課題」──ブルンナーの場合
5 ブルトマンにおけるヒューマニズムとキリスト教の「同盟と対決」
6 バルトにおける「神のヒューマニズム」と二一世紀の世界文明
7 われわれの時代的状況
第四章 自然科学とキリスト教
1 一七世紀の科学革命
2 科学とキリスト教とのコミュニケーション
3 「科学革命」の定義とキリスト教との関連
4 トランスにおける科学の基盤とキリスト教
第五章 キリスト教と諸宗教
1 キリスト教の「絶対性」の問題
2 諸宗教の平和的競争の基盤としての「宗教的寛容」とその宗教的資源
3 キリスト教と諸宗教
注
あとがき
人名索引