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内容詳細
来たるべき生への瞑想
牧会者として、聖書学者として、カルヴァンは「終末」をどのように捉えたのか? 青年期の「上昇的終末論」から、円熟期の「キリストの王国」実現という広大な幻へと展開していった彼の神学的軌跡を、主著『キリスト教綱要』のみならず、カテキズム・聖書注解・神学論文などを渉猟しながら歴史的・文脈的に明らかにした画期的な書。
「カルヴァンにとって『キリストの王国』は、完成に至る終わりの日まで絶えず前進を続ける、キリストの福音に基づく確かな支配であった。それ故、ジュネーヴの町で最期を遂げたこのフランス人亡命者は、自らとその諸教会に降りかかるあらゆる困難や妨害や後退にもかかわらず、神の回復(再創造)の業とこの世におけるキリストの統治が個人的かつ社会的に、霊的かつ現実に進展していることを信じて疑わなかったのである」(本文より)
【目次】
第1章 序 論
1.1. 研究史概観
1.2. 宗教改革期の終末論の思想史的背景
1.3. 本研究の目的と方法
第2章 初期カルヴァンの終末論
2.1. 『仏語新約聖書序文』(1535年)
2.2. 『クリュソストモス説教集』序文(1535年?)
2.3. 『キリスト教綱要』初版(1536年)
2.3.1. 十戒・第四戒
2.3.2. 使徒信条
2.3.3. 主の祈り・第二祷(御国を来らせたまえ)
2.3.4. 主の晩餐
2.4. 結 論
第3章 《神学的モティーフ》としての終末論──1539年版『キリスト教綱要』
3.1. 1539年版『キリスト教綱要』──方法論的変更
3.1.1. 神学教本としての『綱要』
3.1.2. 『綱要』第二版とメランヒトン『ロキ・コンムネス』との関係
3.2. 1539年版『綱要』における終末的主題の展開
3.2.1. 十戒・第四戒
3.2.2. 使徒信条
3.2.3. 主の祈りの第二祷と主の晩餐
3.2.4. 煉獄の教理
3.3. 「旧約と新約との関係」
3.3.1. 歴史的背景
3.3.2. カルヴァンにおける旧・新約聖書の関係
3.4. 「キリスト者の生活」
3.4.1. 歴史的背景
3.4.2. 「キリスト者の生活について」の章の形成
3.5. 「来るべき生への瞑想」
3.5.1. 『綱要』第二版における“meditatio”
3.5.2. “meditatio futurae vitae”の文脈とその意味
3.5.3. 新しい霊性か?
3.6. 結 論
第4章 《神学論争》における終末論──『魂の目覚めについて』
4.1. 序 論
4.1.1. 『魂の目覚めについて』──カルヴァンの神学的処女作?
4.1.2. カルヴァンの終末論における本書の重要性
4.2. 死後の霊魂の教えについての歴史的概観
4.2.1. 古 代
4.2.2. 中 世
4.2.3. 宗教改革期
4.3. 霊魂の不滅性についてのカルヴァンの議論
4.3.1. 「獄屋の霊たち」(Ⅰペト3:19)
4.3.2. 金持ちとラザロの物語における「アブラハムの懐」(ルカ16:19以下)
4.3.3. 人間の霊魂の不滅性の基礎としてのキリスト
4.3.4. 第二コリント書5章1-8節(地上の住みかと天上の住みか)
4.3.5. マタイ福音書22章32節(アブラハム,イサク,ヤコブの神)
4.3.6. ヨハネ黙示録6章10-11節(白い衣)
4.3.7. ルカ福音書23章43節(今日,楽園に)
4.3.8. まとめ
4.4. 霊魂睡眠論者たちに対するさらなる論駁
4.4.1. 第一の議論(Ⅰコリ15:45/エゼ37章)
4.4.2. 第二の議論(死の意味)
4.4.3. 第三の議論(「眠る」という用語)
4.4.4. 第四の議論(コヘ3:18以下)
4.4.5. 第五の議論(神の国の「すでに」と「未だ」)
4.4.6. 教会的伝統からの議論
4.4.7. 新約聖書からのさらなる議論
4.4.8. 詩編からのさらなる議論
4.5. 『魂の目覚めについて』以後
4.6. 『魂の目覚めについて』に見られるカルヴァンの見解の特徴
第5章 《聖書釈義》における終末論──1546-1559年の聖書注解
5.1. 『第一コリント書』(1546年)
5.1.1. 第一コリント書3章12-15節(煉獄について)
5.1.2. 第一コリント書13章8-13節(神知識について)
5.1.3. 第一コリント書15章
5.2. 『第二コリント書』(1547年,仏語/1548年,ラテン語)
5.2.1. 第二コリント書4章16節(外なる人と内なる人)
5.2.2. 第二コリント書5章1節以下
5.3. 『ガラテヤ書,エフェソ書,フィリピ書,コロサイ書』,『第一・第二テモテ書』(1548年)
5.3.1. ガラテヤ書4章4節(時の充満),エフェソ書1章10節(時の充満・天使)
5.3.2. 第一テモテ書6章14-16節(不死)
5.3.3. 第二テモテ書3章1節(終わりの日)
5.3.4. 第二テモテ書4章6,8節(死・不死・キリストの再臨)
5.4. 『ヘブライ書』(1549年)
5.4.1. ヘブライ書序論,1-2章(キリストの王国),4章(至高の幸福)
5.4.2. ヘブライ書9章28節(再臨),10章25節(最後の日)
5.4.3. ヘブライ書12章18-29節(キリストの来臨と永遠の御国)
5.5. 『第一・第二テサロニケ書』,『フィレモン書』,『ヤコブ書,第一・第二ペトロ書,第一ヨハネ書,ユダ書』(1551年)
5.5.1. 第一テサロニケ書4章16節(生ける者の復活)
5.5.2. 第二テサロニケ書1章10節(キリストの再臨・最後の復活・教会)
5.5.3. 第二テサロニケ書 2章3節(反キリスト)
5.5.4. 第一ペトロ書3章19節(キリストの陰府降り)
5.6. 『使徒言行録』,『ヨハネ福音書』,『共観福音書』(1552-1555年)
5.6.1. ヨハネ福音書5章28節(霊的復活)
5.6.2. マタイ福音書10章23節(人の子の到来)
5.6.3. マタイ福音書16章28節(神の子の到来)
5.6.4. マタイ福音書27章45節以下(闇・墓が開く)
5.6.5. マルコ福音書15章43節とルカ福音書23章51節(神の国)
5.7. カルヴァンの新約聖書注解における終末論──まとめ
5.8. 『創世記』(1554年)・『詩編』(1557年)
5.8.1. 創世記
5.8.2. 詩 編
第6章 《神学論題(locus)》としての終末論──『キリスト教綱要』最終版
6.1. 序 論
6.2. 「復活」の教理の歴史的背景
6.2.1. 古代・中世
6.2.2. 宗教改革
6.3. 『キリスト教綱要』におけるカルヴァンの見解
6.3.1. 1551年版(仏語)『綱要』
6.3.2. 1559年版(最終版)『綱要』
6.4. カルヴァンの聖書注解における「復活」の教理
6.5. 『綱要』最終版における他の改訂や付加
6.5.1. 「魂について」(I.xv.2)
6.5.2. 「キリストの王的職務」(II.xv.3-5)
6.5.3. 「キリスト者の生活について」(III.vi-x)
6.5.4. 「御国を来らせたまえ(主の祈りの第二祷)」(III.xx.42)
6.6. 結 論
第7章 《幻》としての終末論──旧約預言書注解
7.1. 序 論
7.2. 「キリストの王国」についての歴史的概観
7.2.1. アウグスティヌス
7.2.2. ルター
7.2.3. メランヒトン
7.2.4. ブツァー
7.3. 『キリスト教綱要』における「キリストの王国」
7.3.1. 『キリスト教綱要』初版(1536年)
7.3.2. ルターとの違い
7.4. カルヴァンの旧約預言書解釈
7.4.1. 宗教改革期における旧約解釈
7.4.2. カルヴァンの旧約預言書解釈
7.5. カルヴァンの「キリストの王国」理解
結 論
文献表
あとがき