ベスト👍 ノンフィクション
『日本に住んでる世界のひと』
金井真紀 文・絵
大和書房 刊
2022年11月 発行
定価1760円(税込)
239ページ
対象:中学生以上

いろんな国から来た、隣人たちの生活物語。

昨年の11月に出版された本なのでもう新刊ではありませんが、とても良い本なのでご紹介します!

『世界はフムフムで満ちている』『パリのすてきなおじさん』などの著作で知られる文筆家でイラストレーターの金井真紀さんが、日本で暮らしている外国籍の18組20人に取材をしてまとめたもの。あまりにも一人一人の物語がすごくて(他に言葉が見つかりません!)これでもかというほど驚かされ、またこの国のあり方についても考えさせられます。

本に登場する人たちはルーツも、日本に来た事情も、住んでいる期間も様々です。日本で生まれた人もいれば、すぐ帰るつもりで70年以上もとどまっている人、日本で家族を持った人、日本で起業した人、今も難民申請中の人など——日本人の両親から生まれ、ごく一般的な家庭で特に不自由も問題も感じないで育ってきたマジョリティの日本人である私からすると、それぞれの人が抱えているものは想像もつかないほど複雑で知らなかったことばかりです。時に言葉を失うほど厳しい状況を切り抜けてきた(今もそこにいる)人もいますが、どの人も力強く明るい並外れた行動力の持ち主であることは間違いありません。「こんな人たちが私たちの社会で共に暮らしているのか!」ということに感動しますし、その中に見え隠れする日本の問題点については「おかしい」「何とかしたい」という気持ちが心の中に素直に湧き上がってきます。

日本の人口の0.2%に当たる276万人余りの外国籍の人たちからすればほんのひとすくいのストーリーですが、読者の心を驚かせ目を開かせるには十分な力がありました。特にこれから社会に出て行こうという若い人たちには、自分たちの生きている場所の良さも問題も気づかせてくれる“世界のひと”たちの存在をより身近に興味をもって感じてもらえるように、大人の人がぜひこの本を紹介してほしいと思います。(か)

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