ベスト👍 伝記
『音楽家の伝記 はじめに読む1冊 メンデルスゾーン』
『音楽家の伝記 はじめに読む1冊 ブラームス』
ひのまどか 著
ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス 刊
2024年1月10日 発行
2024年2月10日 発行
各1760円(税込)
343ページ、325ページ
対象:小学校高学年から
偉大な音楽家の生涯を物語のように読みやすく描いたシリーズ
これまでにも『バッハ』や『ベートーヴェン』、『ショパン』に『チャイコフスキー』などの音楽家の生涯を丁寧な取材のもと描いたこの伝記シリーズに新たな顔が加わりました。本作も読みごたえ十分の1冊になっています。
『メンデルスゾーン』は彼がユダヤ人としての出自に生きている時のみならず、死後も翻弄されたことに触れています。死後までも出自が才能の評価に関わるのか、と驚きました。両親にキリスト教プロテスタントに改宗させられ、成長したメンデルスゾーンも「敬虔なキリスト教徒」として生きていったにも関わらずです。
「~完璧を目指さなくてはいけない。と同時に、きく人に創作の苦しみを悟られてはいけない。」の思いのもと、メンデルスゾーンの創作スタイルは次第に自分の納得がいくまで改訂を重ねる、ベートーヴェンのような推敲型に変わっていったというのです。音楽に対してストイックだなと感じます。ため息しかでません…。でもそのおかげで今、わたしたちは素敵な音楽を享受できているのかもしれませんね。
『ブラームス』は貧民街に生まれました。そのため才能を正しく評価されず、故郷に拒絶されます。ブラームスはこの呪縛から自由ではなかったようです。
彼は文字通り、生涯自由と孤独を愛した人だったーー読んでいて、その姿は少し痛々しくも感じました。音楽に対し、やっぱりストイックなのです! こんなに何かに対し、まっすぐに向き合うことってあるだろうかと自問してしまいました。
何かを生み出す才能って、子どもっぽい言い方だけど、素直にすごいなと思います。壮絶だなとも。
このシリーズはどれも「あとがき」も、読みごたえがあって、本編では触れられなかったことが書かれているので、特に大人の読者は忘れずに読んで欲しいです。著者の熱い思いを感じます。音楽家の生き様をこんなに身近に思える本は他にありません。ぜひ、多くの人に知ってほしい、読んでほしいと強く思います。 (す)
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