クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『「気の持ちよう」の脳科学』
毛内拡 文
筑摩書房 刊
2022年11月 発行
定価880円(税込)
189ページ
対象:高校生以上
「知ることで、見える世界は変わり始める」
ーー”心に何か不調をきたしたとき、「気の持ちよう」とか「甘えだ」とか言われることもあるかもしれない。だけどそれは君の弱さのせいではない。だから、自分を責める必要は全くない。必要なのは脳に対する正しい科学的理解だ。”ーー
こう主張するのは、長年脳の研究をしている著者の毛内拡氏。
自身のことを「もうダメだ」が口癖であまり心の強い人ではないと表現している著者は、「あれもこれも脳の仕業に過ぎないという気持ちを持ち続けている」といいます。
本書は第8章から構成されていて、タイトルにある通り「気の持ちよう」と「脳科学」両方の視点から様々な物の見方を教えてくれます。
読者は、「心」や「脳」がどんなものであるかや「心を生み出す脳のはたらき」などについて知識を得ます。
そして、なぜ「気の持ちよう」と考えてしまうのか、そのワケについても理解を深めていき、最終的には”わたしってなんだろう”ということを考えさせられる内容です。
そんな本書において最も興味深かったのは、「気の持ちよう」に関してかかれた第6~7章。
著者は、何か不調をきたしたときに「気合い」や「甘え」で片づけられてしまうのも、”脳のはたらきのせい”なのだと主張します。
また、”いわゆる「気の持ちよう」の代表”だとされるプラセボ(偽薬)効果を例にあげ、どうしてただのビタミン剤だと知らずに、よく効く薬だと思い込んで飲み続けていたら本当に病気が改善したのか、そのとき脳では何が起こっているのか、最近の研究をもとに考えを記しています。
そして、この効果によって「気の持ちよう」を利用できるのではないかと、その方法も述べています。
本書を読んでいると、”あれもこれも脳の仕業に過ぎない”と言った著者の言葉の意味がよくわかります。
本書を通して著者が読者に望んでいることは
「みんながひとりひとりかけがえのない、心身ともに健康でハッピーな人生を送れますように」ということ。
「気の持ちよう」という言葉が目に入って気になった、あなたにぜひ読んでほしいです。
知ることで、見える世界が変わり始めます。(み)
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