ベスト👍 フィクション
『フレンドシップウォー こわれたボタンと友情のゆくえ』
アンドリュー・クレメンツ 作
田中奈津子 訳
講談社 刊
2020年7月 発行
本体1,500円＋税
238ページ
対象：小学校高学年以上
小さなボタンと大きな友情の物語
夏休みに廃工場で見つけた段ボール27箱分のボタンーーここからグレースの小学校でのボタンフィーバーが始まったのです。
自宅に眠る古いボタンを持ち寄ってクラスの仲間で品評会をしたことがきっかけで、親友のエリーとの間がぎくしゃくした感じになってしまった6年生のグレース。学校全体を巻き込んでどんどんエスカレートしていくボタンの収集・交換熱と比例するように、グレースとエリーの関係もますますこじれていって……。
学校生活と、その中で起こる子ども同士の微妙な人間関係を物語に描かせたら右に出る者はいないクレメンツの最新刊です。
ちょっと変わったこだわりの性格を持つグレースは、このボタン事件をきっかけに今まで親友と思っていたエリーとの関係を見つめなおします。いつも自分の思い通りにしないと気がすまない友だちに逆らわないでいることが“親友”なの？ でも、ワガママな相手をやりこめるために“目には目を”といった態度をとるのは正しいことなの？ 読んでいる側もグレースと一緒に腹を立てたり悩んだりするので、作者の用意した結末に心の底からほっとしました。
同世代の悩める子どもたちに「人間関係の難しさに悩むのは、どの国の子どもも同じだよ！」、そう伝えてくれる等身大の物語です。 （か）
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