ベスト👍 絵本
『ねえさんの青いヒジャブ』
イブティハージ・ムハンマド&S・K・アリ 文
ハテム・アリ 絵
野坂悦子 訳
BL出版 刊
2020年4月 発行
本体1,600円+税
34ページ
対象:小学校低学年以上

家族と、愛と、信仰と

きょうはねえさんのアシヤが学校に自分で選んだ青いヒジャブをつけていく日。
ねえさんのヒジャブは海みたい、空みたい!
妹のファイザーはまだヒジャブをつけていません。ヒジャブをつけたねえさんがプリンセスのように思われて誇らしくてなりません。その一方で、ねえさんが友だちにからかわれないか心配でもあります。

これは、ヒジャブを着けて登校する姉さんを妹の視点から描いた絵本です。
作者はヒジャブを着けてオリンピックに参加した初めてのアメリカ人選手です。
「わたしのヒジャブはわたしの一部」――オリンピックで高らかにそう宣言した作者の思いが絵本の中に隈なく溢れます。
画面いっぱいに広がる青いヒジャブと凛としたアシヤの表情が実に清々しく、読み手の子どもたちはきっとファイザーと同じ誇らしさを感じることでしょう。

クリーンヒット⚾ フィクション
『となりのアブダラくん』
黒川裕子 作
宮尾和孝 絵
講談社 刊
2019年11月 発行
本体1,400円+税
205ページ
対象:小学校高学年以上

異国の地で出会ったほんとうの友だち

日本語をほとんど知らないパキスタンからの転校生“アブダラくん”。小6の男の子ハルはクラスでアブダラくんのお世話係を任されます。はじめは興味津々だったクラスメートは、“豚肉を食べない” “学校でお祈りをする”アブダラくんのことを次第に「ワガママだ」と言いはじめます。
そんなある日、アブダラくんの妹が学校で無理やりヒジャブを男の子からはがされる事件が起こります。

重いテーマを扱いながら痛快なストーリー展開で読みやすく、読後感もよい作品です。『ねえさんの青いヒジャブ』と共に「異文化を知り、多様性を受け入れる」入口として子どもたちに紹介したい1冊です。  (く)

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