ベスト👍 昔話・伝記・詩
『かじ屋と妖精たち イギリスの昔話』
脇明子 編・訳
堀川理万子 絵
岩波書店 刊
2020年9月 発行
本体840円+税
366ページ
対象:小学校中年生以上
岩波少年文庫 オリジナルアンソロジーの新しいイギリスの昔話集、誕生!
「三びきの子ブタ」「ジャックと豆の木」など、なじみ深いタイトルがいくつも見えるイギリスの昔話。語り手たちは特に、石井桃子編訳の『イギリスとアイルランドの昔話』(福音館書店)や、松岡享子編訳の『子どもに語るイギリスの昔話』(こぐま社)で親しんできたお話があるでしょうし、この選集にも先の2冊に収録されよく語られている「ノロウェイの黒い雄牛」や「レッド・エッティン」などが収められています。
しかし、昔話集はお話を選ぶ人の(再話者)の個性がはっきりと見えるもので、脇明子さんの集められたお話の中には伝説に近い物語も含まれ、「昔話は繰り返しばかりの単純なストーリーで子どもだまし」と思っている大人の目を開かせるような愛と冒険の物語が楽しめます。
己の力を信じて困難な運命に立ち向かう主人公の行動が物語を牽引していく力強さは、昔話に特有の魅力です。
この世ならぬものたちを恐れ敬う心を持った素朴な人々が、知恵と勇気をもって課された試練に立ち向かうとき、私たちは彼らが迎える幸福な結末を心から祝福することができるのでしょう。昔話のハッピーエンドは決してご都合主義ではないことを、これらの長く伝えられたお話は私たちに教えてくれます。
久しぶりに読んでワクワクする昔話集に出会えたことに感謝!
不思議な緑色の表紙で踊る妖精たちが、あなたたちを「今ここではないどこか」に誘ってくれます。 (か)
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