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『わたしが障害者じゃなくなる日 難病でうごけなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかた』
海老原宏美
旬報社 刊
2019年6月 発行
本体1,500円+税
対象:小学校高学年以上
わたしに障害があるのは、あなたのせいです!
冒頭、著者の海老原宏美さんはこう言い切ります。
いきなりの言葉にぎょっとしました。そして内心ムッとしました。
でも、この時の私は、“重度の障害のある海老原さんが「苦難を乗り越えて」それを「克服」する「感動秘話」”を心のどこかで想定していたからです。
そんな私のチープな価値観を海老原さんはこの本の中でバッサバッサと刈り込んでくれました。
海老原さんは、1歳半の頃に脊髄性筋萎縮症(SMA)と診断され、3歳までの命と医師から宣告されます。
しかし43歳の今、一人暮らしをしながらバリバリと仕事をしています。海老原さんの現在は人工呼吸器がなければ呼吸もできず、人の助けがなければトイレもいけない、着替えもできない、重度障害者です。24時間介助も必須です。しかし、介助者(家族以外の!)の助けを次から次へと借りながらやりたいことをやる。そこには遠慮や申し訳なさは一切ありません。
「社会が変われば障害はなくなります」海老原さんはまた言い切ります。――達成できないスローガンのように思えていたこの言葉も、本書を読み進めていくうちに私の中ではただの「お題目」ではなくなりました。
サブタイトルの「難病でうごけなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかた」――この「つくりかた」に参加する方法はとてもシンプルです。自分たちの凝り固まった古い価値観をまず変えること。
小中高の学校図書館に置いてほしい1冊です。(しかも目立つように!)
もちろんまだお読みでない大人も必読です! (く)
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