クリーンヒット⚾ フィクション
『町にきたヘラジカ』
フィル・ストング 作
クルト・ヴィーゼ 絵
瀬田貞二 訳
徳間書店 刊
2021年1月 発行
本体1800円+税
120ページ
対象:小学校低学年から

アメリカの小さな町で本当にあったできごとから生まれたゆかいなお話

ある冬の日、なかよしのワイノとイバールが馬屋でスキーの手入れをしていると「ブォォーン、ボーン、ブォォーン」というおかしな音を聞きます。二人がおっかなびっくり廊下の電気をつけてみると、なんとそこにいたのはヘラジカでした! 雪に覆われた森には食べるものがなく、町まで出てきたヘラジカはイバールのお父さんの馬屋にたどり着き、馬に交じってまぐさをもりもりと食べていたのでした。さぁ、このヘラジカをどうしましょう? イバールとワイノ、そして町の大人たちは困って頭をひねります。

1969年に学習研究社から刊行され復刊の希望が高かった作品です。タイトルや表紙の絵に懐かしさを覚える読者もいるのではないでしょうか。
最初にヘラジカを見つけた子どもたちから大人たちへ様子が伝えられていく過程の、「まさか馬屋にヘラジカが!?」と信じない人々との滑稽なやりとりが重ねられていくようすがしみじみとおかしく、ヘラジカのボーンを助けて友だちになる子どもたちと、困りながらも段々に受け入れていく町の人たちのおおらかさもこのお話の魅力です。
挿絵は『シナの五にんきょうだい』や『あひるのピンのぼうけん』などを描いたクルト・ヴィーゼ。自然体でいながらユーモラスなヘラジカと、振り回されてあたふたする人間のコミカルな様子を温かく描いています。カラーのイラストが多いことも嬉しい1冊です。(か)

★ご注文はお電話、Fax、メールにて承ります。
売場直通電話 03-3563-0730
Fax 03-3561-7350
メール narnia@kyobunkwan.co.jp