「岩波の子どもの本」シリーズの1冊として創刊翌年の1954年に刊行されたケストナーの『どうぶつ会議』、長年子どもたちに(そして大人にも)親しまれてきた作品が創刊70周年を前に新規製版となり、色鮮やかに生まれ変わりました。文字も新しくなり、大変読みやすくなったのは嬉しいことです(前の本はさすがに書体が古すぎて……)。
この本はドイツで第二次世界大戦終結から4年後の1949年に出版されましたが、ストーリーの原案をもたらしたのは国際児童図書評議会(IBBY)の創設者イエラ・レップマンだったそうです。「この混乱した世界を正すことを、子どもたちからはじめましょう。そうすれば、子どもたちがおとなたちに、すすむべき道を示してくれるでしょう」と語ったレップマンと、戦争中はナチスから執筆を禁止されていたケストナーが未来を託す子どもたちの幸せをどれほど強く真剣に願っていたか、それがこの物語には溢れています。
今この瞬間にも命が脅かされている人たちがいることを思うと、何もできないことが辛くてなりません。それでも「争いをやめよう」と諦めずに訴え続けること(それもユーモアを持って)の大切さを、このケストナーの物語は私たちに教えてくれます。一人でも多くの方が『どうぶつ会議』を手に取り、動物たちの要求に真剣に向き合ってくださることを願っています!
岩波の子どもの本版『どうぶつ会議』エーリヒ・ケストナー文/ヴァルター・トリアー絵/光吉夏弥 訳/岩波書店 1100円(税込)
完訳版はこちら→大型絵本版『動物会議』池田香代子 訳/岩波書店 2750円(税込)
★現在、立川のPLAY MUSEUMにて“企画展示「どうぶつかいぎ展」”が開催中(~4/10)! 詳しくはホームページをご覧ください。
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