nozawa
野沢佳織さんの朗読会が今週の日曜日(2月17日)に迫りました。ただ今、お電話にて参加申込みを受付中です!ご希望の方はぜひどうぞ。(ナルニア国直通:03-3563-0730)
そんなわけで「野沢さんの翻訳書で、まだ読んでいない本を読もう!」と、岩崎書店の『隠れ家』を読みました。これは2011年に出た本ですが、かの有名な『アンネの日記』に登場するペーター少年の目から見た、隠れ家の生活を描いた作品として話題を呼んだものです(まだ読んでいなかったのか…と言われそうですね)。実在する人物の日記に登場する、実在の人物を小説に仕立てて書くというのは、まったくの空想で物語を書くことよりかえって大変なのではないでしょうか。「所々、(アンネの日記に書かれた)事柄の順序を入れ替えた部分はあります」という作者の断り書きはありましたが、それでも一人になれる空間がほとんどないような狭いところに押し込められ、大きな声を出すことも思い切り体を動かすこともできないで10代の少年が2年間を過ごすというのがどういうことなのか…。隠れていなければ命に係るとわかっていても、時にどうしようもない苛立ちで(しかしその苛立ちの持って行き場もない)苦しむペーターの姿には胸が痛くてたまりませんでした。ホロコーストを伝えるための新しい文学が、あの戦争からもう70年近くたった今でもこのように出続けるということに、戦争の傷跡の深さと、それを忘れてはいけないという文学者たちの思いの深さを感じます。
それにしても、野沢さんの翻訳書の中には、思いのほか戦争を扱ったものが多いような気がします。何か引き寄せられるものがあるのでしょうか…。伺ってみたい気がしました。