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『くまのピエール』
こぐま社 刊
イブ・スパング・オルセン 作
菱木晃子 訳
2022年3月15日 発行
本体1,540円(税込)
104ページ
対象:小学校低学年から

主人公は、元気いっぱいでおとぼけ屋のくまのぬいぐるみ

ピエールは小さなくまのぬいぐるみ。町のおもちゃ屋さんの棚に飾られています。ある日の晩、ちょっとした騒動を巻き起こしたピエールをお店の女の人は格安で売ってしまうことにします。
ピエールを買ってくれたのはスティーヌという女の子でした。ずっとくまのぬいぐるみがほしいと思っていたスティーヌは大喜びで家に連れて帰ります。
こうしてピエールはスティーヌと暮らすことになったのですが、まあ、ピエールのそそっかしいことといったら! 好奇心旺盛なピエールは初めて見た月をお金だと思って取りに行こうとしたり、海水浴で汚れてしまい危険な犬と間違えられたり……。ハプニングだらけの日々は反面、色濃い記憶となって、愛おとぼけ屋のくまにスティーヌもあなたも私この愛すべきおとぼけ屋のくまの虜になります。

賑やかな物語の作者は『つきのぼうや』(福音館書店)などで知られるデンマークの作家イブ・スパング・オルセン。本国では1971年に発表された作品で、50年の歳月を経て日本で初めて翻訳出版されました。
7話の短いお話にはどれもカラーの挿絵が添えられていて、小さい子どもが自分のペースで読書を楽しむのにぴったりな1冊です。特に最終話の「さんざんな海水浴」はくまのぬいぐるみとは思えぬ無様な姿に、大人も一緒になって笑い声をあげることでしょう。
ぬいぐるみにこんなにも愛おしい気持ちを抱いたのはいつぶりかしら、と幼き頃を回顧してみるのでした。 (い)

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