クリーンヒット⚾ フィクション
『白いのはらのこどもたち』
たかどの ほうこ 作
理論社 刊
2021年12月 発行
定価1,430円(税込)
64ページ
対象:小学校低学年から

さあ、「のはらクラブ」のみんなと森や原っぱに出かけよう!

アウトドアブームの再熱が目覚しい近年。ことにこの数年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、街を抜け出して自然を求める人が増えたようです。清々しい空気や広い空の下、森や原っぱでのびのび過ごすのは聞くだに心地よいものですよね。
いざ出かけてみると、周囲は観察甲斐あるもので満ち満ちていることを知ります。木々や草花、いきもの、川の水の澄んだ色、空気に混じる土や草木の匂い、風が梢を渡る音。何より雑踏では味わうことのできないさやけさが、そこにはあります。

さて、この本の「のんちゃん」は小さな女の子。野原の好きな「のはらおばさん」が作った「のはらクラブ」の一員です。
ある冬の日、のはらおばさんとのんちゃんは雪の積もった野原を散歩することにしました。かんじきを履いて出発すると、さっそく雪の上に誰かの足跡を見つけます。
「だれのだろう?」とのんちゃん。
するとおばさんは探偵のように「こっちはキツネ、そっちのはタヌキにちがいないわ」と、理由も教えてくれます。
そうして、次々と出会う「のはらクラブ」の仲間たちを交えて、サルナシやオニグルミの生態、クマゲラやキレンジャクなどの都会ではめずらしい鳥のこと、家畜の食事を蓄えるサイロの役割に至るまで冬の自然のあれこれを説明してくれます。
物語の流れをくみつつも科学的な要素をきちんと踏まえ、飽きさせない内容は恒久的で読者を選びません。

今回の新装版では読み始めに「のはらクラブ」のメンバーを紹介するページが加わり、巻末には作者のあとがきが添えられています。
シリーズ2巻目となる『のはらクラブの子どもたち』が昨日刊行され、全4巻(5月刊行予定の作品は新作だそう!)となるようです。いずれも舞台となるのは四季折々の野原ですから、1冊手にするとそのほかの季節のクラブ活動にも同行したくなる趣にあふれた作品です。  (い)

 

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