→『サンドイッチクラブ』にサンドイッチされるくろみみくん
岩波書店から珍しく現代日本人作家の作品が出版されました。長江優子さんの『サンドイッチクラブ』です。
実はこの本、出版前に版元の編集部からゲラを預かって読ませていただいたのですが、とてもおもしろかったです。小学校6年生で中学受験を控えた夏に出会った二人の少女の成長物語――と一言で言ってしまうとありがちに聞こえますが、それぞれの等身大の悩みと彼らを取り巻く社会的な問題が実にさりげなく描かれていて、彼女たちの“砂像作り”にかける思いの熱さが物語をぐいぐい引っ張っていくとろこがとても魅力的。作者の主張が表に出過ぎて「このことが言いたくてこの本を書いたのね」といった感じのものが多い中で、とても爽やかで読んで楽しい物語でした。何より読後の解放感が気持ちいいのです! ぜひ主人公と同年代の子どもたちに薦めたいと思いました。
主人公の二人の少女が結成した砂像作りの秘密クラブがなぜ“サンドイッチクラブ”なのか? 料理同好会ではないのに…と不思議に思った方はぜひ物語を読んでみてくださいね!
『サンドイッチクラブ』長江優子 作/岩波書店 1500円+税
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