ベスト👍 写真絵本
『和ろうそくは、つなぐ』
大西暢夫
アリス館 刊
2022年2月28日 発刊
定価1,650円(税込)
49ページ
対象:小学校中学年から
私たちが忘れ、捨て去っている「モノ」たちが教えてくれること
名前も存在も知っているけれど、自分の日常の中には
関わりが薄いものーーそんなものがいくつもあります。
私にとってはそのひとつが「和ろうそく」
作者の大西さんは、そんな和ろうそくにまず光を当てて
紹介します。
岡崎の和ろうそく職人松井さんの元を訪ねた大西さんは、蝋(ろう)が
ハゼの木の実から作られることを聞きます。
そして、ハゼの実の収穫を見に島原に向かい、蝋職人の本多さんに出会います。
そこで、蝋を絞ったあとの、絞りカス(蝋カス)が捨てられずに、また新たな
使い方をされていることを知ります。
蝋カスは、藍の発酵を助け、藍染の底にたまった「灰」がまた新たなものに
生まれ変わっていく……。
まるで昔話の「わらしべ長者」を見ているかのように
和ろうそくから始まった物語がいくつもいくつも続き、
そして最後にたどり着いたのは前作の『お蚕さんから糸と綿と」の北川さんご夫婦!
あまりにも見事な「モノの命の繋がり」に思わず熱い思いが込み上げました。
大西さんは語ります。
「最初にモノを作り出す人は、木や川や土から恩恵をいただく。
昔から続くモノづくりの過程には、捨てるものがなく、土に還る大きな循環があることに、
ぼくは気がついた」
現代を生きる私たちは、便利さと効率の代償に、なんと大切なものを
忘れ去り、捨て去っていることでしょう。
SDGSなどと声高に叫ぶことなく、大切なことは何かを静かに
子どもたちに(大人にも!!)伝えてくれる写真絵本です。 (く)
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