ベスト👍 ノンフィクション
『へんしん すがたをかえるイモムシ』
桃山鈴子 作
井上大成 解説・監修
福音館書店 刊
2022年4月25日 発行
定価1540円（税込）
48ページ
対象：幼児から
身近な虫のダイナミックな「へんしん」を丁寧に描きます！
昆虫の脱皮と変態は何度詳しく話を聞いても、不思議でなりません。蛹のなかでドロドロになって、幼虫とは全く違う形態になるって魔法のようです。
そんな不思議の世界ーー蝶の「へんしん」を描いたのが本書。点描の細やかな絵がとても美しい！
卵から幼虫が生まれ、葉っぱを食べて大きくなると脱皮を繰り返し、そして蛹になり、蝶になる。この一連の営みを丁寧に描いています。余白をたっぷり使っているので、たいへん見やすい。ゆったりとした心地で楽しめます。著者はよく観察したのだろうな、と思います。精緻な絵でありながら、絵のタッチから愛を感じます。
描かれる蝶はモンシロチョウ、ナミアゲハ、ウラギンシジミの3種。身近な蝶、と紹介されていますが、モンシロチョウ、ナミアゲハは子どものころより見かけることが格段に少なくなりました。減っているとも聞きますね。
わたしが子どものころにはキャベツ畑にモンシロチョウがたくさんいたものですけど、今や畑はありません。そんな蝶の食糧事情も関係しているのでしょうか。
科学的な視点で描かれた本でありつつ、芸術的な本としても楽しめます。巻末には詳しい解説もあるので、大人や少し大きい子どもは必読でしょう。原画を見てみたいな…。 （す）
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