ベスト👍 詩
『我と来て遊べや親のない雀 小林一茶句集』
花嶋堯春 編
童話屋 刊
2022年3月1日 発行
定価1650円(税込)
157ページ
対象:小学校高学年から

俳人一茶から現代へ。十七音の励ましのメッセージーーさあ、一茶と遊ぼう!

特に俳句に興味がなくても、松尾芭蕉、そして小林一茶の名前は聞いたことがあるでしょう。かくいうわたしも、なぜか表題の「我と来て遊べや親のない雀」や「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」などは知らぬ間に知っていました。でも、いつ出会ったかは、さっぱり覚えていません。よくわからずに「いいな~」と思っていました。
今回、初めてまとめて一茶の句に触れてみました。かわいらしい印象の句からしみじみ心に染み入る句など、読後感も多種多様! 文庫サイズのハードカバー本の見開きページの右に一茶の句が、左ページに編者の鑑賞と評が書かれています。それは初心者にとっても、愛好者にとっても句を味わう手助けになっていると思いました。短いながらもあたたかで的確な視点です。この編者の花嶋さんは、元信濃毎日新聞社・論説主幹だった方。一茶と同郷、長野の新聞に25年(!)もにわたり一面コラム「斜面」を書き綴ったそうです。気鋭の一茶ホイストが選んだ63句。堅苦しいことは抜きにして、一茶の句をたっぷりと楽しんでほしいものです。わたしも折に触れてページを開いてみようと思います。
一茶の句を改めて読んでみて思ったのは、言葉が明快で映像が浮かびやすいものが多いかも、ということ。彼の生きていた時代とは現代ではさまざまなものが変化しているはずだけれど、それでも通ずる何かがあると感じました。
恥ずかしながら花嶋さんのことはこの本で初めて知りました。あとがきの「言葉はあふれているにもかかわらず、まことの情の枯れゆく昨今です。優れた詩は、言葉に命を吹き込んでくれます」の一文に共感し、一気にファンになりました。

そういえば以前、たしか上野で開催していた書の展覧会で一茶の作品を見たことがあったことを思い出しました。上野じゃなかったかな? 一茶の書は、おおらかな筆だったように記憶しています。(す)

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