ベスト👍 フィクション
『黄色い夏の日』
高楼方子 著
木村彩子 画
福音館書店 刊
2021年9月10日 発行
定価1980円(税込)
316ページ
対象:小学校高学年から
古い洋館に住む老女と少年の出会いから始まる、妖しく美しい幻想文学
絵本『まあちゃんのながいかみ』や幼年童話『みどりいろのたね』、『時計坂の家』や『十一月の扉』などの長編読み物、さらには大人向けのエッセイと幅の広い執筆活動をされている作家の待望の書き下ろし長編です!
本作も読みごたえたっぷりの1冊になっています。
七月半ばの日曜日の午後、中学生になった景介はとある建物に向かっていました。それは木々と草花に囲まれた、灰色の壁と緑の屋根が古めかしい洋館。なぜなら、入部した美術部で「建物を描く」という課題が出され、その時思い浮かんだのがこの洋館だったのです。
主の老婆に招き入れられた景介は、ひとりの少女に出会います。「ゆりあ」と名乗る彼女に心惹かれていく景介でしたが…。
幻想的な雰囲気を醸す、情景描写の美しい物語。秋の夜長に温かい紅茶かコーヒー片手に、じっくりと向き合いたいと思わせます。読み飛ばし厳禁!(笑)
ピアスの名作『トムは真夜中の庭で』を彷彿とさせられました。
絵本や幼年童話のおもしろくてとにかく愉快な作品のイメージとは180度イメージ変換させらる、この作家の筆力を改めて感じた1冊でした。 (す)
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