ベスト👍 昔話
『火の鳥ときつねのリシカ チェコの昔話』
木村有子 編訳
出久根育 絵
岩波書店 刊
2021年4月 発行
定価880円(税込)
344ページ
対象:小学校中学年以上
ちょっとぶきみでおもしろい、味わい豊かなチェコの昔話・24話
ある王さまの美しい庭に、毎日ひとつだけ生るりんごの木がありました。ところがその実はなぜか毎晩なくなってしまうのです。不思議に思った王さまが息子たちに夜の見張り番を命じると、その晩に末の王子が庭で見たのは美しい金の羽を持つ火の鳥でした。そして、心臓の弱った王さまのためにこの火の鳥を捕まえに出かけることになった末の王子を助けてくれたのは赤茶色のきつねのリシカで、困難に出合うたびに必ず知恵と忠告を授けてくれるのでした。(表題作「火の鳥ときつねのリシカ」)
大国に挟まれて歴史的にも困難な時代の多かったチェコの人々は、自国の文化の根底にある昔話に特別な愛着と誇りを持っているように感じられます。「昔話が暮らしの中にとけこんでいるといってもいい」と、翻訳者の木村有子さんはあとがきに記されていますが、昔話が子どもだけでなく大人にとっても身近な存在であり続けているのは、生きるための深い知恵がおもしろく、また美しく刻まれているからではないでしょうか。
世界各国の昔話に親しんでいる人にとっても、似ているようで違う独特な展開の物語には驚きと発見があるはずです。お話に添えられた出久根育さんのイラストは、形式ばらない軽やかさで、時に不気味でユーモラスで美しく、まさにチェコの昔話にピッタリの雰囲気を醸し出しています。(か)
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