クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『つぎに読むの、どれにしよ? 私の親愛なる海外児童文学』
越高綾乃 著
かもがわ出版 刊
2021年2月1日 発行
本体1600円+税
151ページ
対象:中学生から
幼少期からずーっとそばにいてくれたのはピッピやローラ、児童文学の主人公たち!
小さいころから海外児童文学に慣れ親しんできた著者の、大きな愛に溢れた1冊です。こんなふうに物語がそばにある暮らしっていいな、と率直に思います。わたしは著者ほど子どもの頃に読んではいないので、少々嫉妬してしまうほど。ただ成長する過程のなかで「絵本や児童書を好きな自分」がコンプレックスだったこともある、と言います。なんとなくその気持ちもわかるかも、と思いますが、それでもそのコンプレックスも含めてやっぱりちょっと羨ましいわたしです。
さて本書は、著者が大好きな作品とその登場人物の魅力を存分に語り尽くしたもの。論じているわけではないので、親しみやすく読み進められます。そして自分の好きだった作品との共通点を見つけて嬉しくなったり、自分との読みかたの違いを発見して驚いたり、と様々な発見があります。そしてそのことを誰かに話したくなる本だと思いました。
取り上げている作品は『くまのパディントン』『長くつ下のピッピ』『思い出のマーニー』『トムは真夜中の庭で』『人形の家』などなど。ナルニア国としては、どれも当たり前の作品たちですが(児童文学史としても必須の作家、作品ばかり)、一般的な書店の店頭では見つけるのは難しい本もありそうです。この本をきっかけに1作品でも手にしてくれたらいいなと思います。
巻末には著者が大好きなリンドグレーンを通して知り合った翻訳家の石井登志子さんとの対談も収録されています。「好き」が溢れた会話は読んでいて自然と笑顔になります。児童文学の話を誰とでも、もっと当たり前にできたらと思いました。 (す)
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