クリーンヒット🥎ノンフィクション

『悲しいけど、青空の日  親がこころの病気になった子どもたちへ
シェリン・ホーマイヤー 文・絵
田野中恭子 訳
サウザンブックス社 刊
2020年6月
本体2400円+税
133ページ
対象:小学校高学年以上

家の中がなにか変なの。ママやパパは病気なのかな?

9歳の女の子モナは、お母さんと二人暮らし。モナにとってうれしいのは「青空の日」。
青空の日は、お母さんは絵本を読んだり、抱きしめてくれたり、すてきなことをたくさんしてくれます。でも「悲しい日」もやってきます。そんな日は、ママはとても弱っていてご飯も作れず、起き上がることもできません。モナは不安な気持ち、イライラする気持ち全部を自分の中に飲み込んで「青空の日」が来るのをひたすら祈ります…。

精神疾患を患っている母親を持つモナの視点で描かれたドイツの絵本です。

絵本は章仕立てになっていて後半は、そうした親を持つ子どもたちや大人へのアドバイスが具体的にわかりやすく書かれています。

日本の中にも、こころの病気を抱えた親を持つ子どもたちがたくさんいるのだと思います。
どうしてお母さんが日によって変わってしまうのか? 家のことや自分のことをいろいろしてほしいけれど、何も言えない…。「自分のせいでお母さん(お父さん)はそうなってしまったんじゃないか?」と思い込み、誰にも相談できず抱え込んでいる子どもたちは、私たちが思う以上に多いのかもしれません。特にこのコロナ禍の中で、さらに見えにくくなっている今だからこそ、必要な絵本だと思いました。

問題をひとりで抱えている子どもが、この絵本を手に取って「自分はモナだ」と気づき、周りの大人や本の中にある具体的な支援先にSOSを出せるようになることを願います。

そして、私たち大人は、自分の身近に「モナ」がいるかもしれないと、「アンテナの感度」を高くしていかなければ、と思います。 (く)

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