クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『世界で読み継がれる子どもの本100』
コリン・ソルター 著
金原瑞人、安納令奈 訳
原書房 刊
2020年10月31日 発行
本体2800円+税
360ページ
対象:中学生から

子どものために書かれた愛すべき名作たち!

ブックガイドは数多出版されている昨今ですが、本書は少し変わっています。取り上げられている本の対象年齢の幅がとても広いのです。
小さい人向けの絵本(たとえば『ちいさなうさこちゃん』『はらぺこあおむし』など)からヤングアダルト(『戦火の馬』『肩甲骨は翼のなごり』など)と言われる中高生以上の読者をターゲットにした読物まで。
大体、対象年齢もしくはジャンルで区切られた本が紹介されますので、手にとったときは正直驚きました。

その理由はあとがきにありました。
パヴィリオンブックス社のスタッフが幼少期に読んだ本のリストを著者コリン・ソルターがまとめたのだそうです。
児童書の研究者や愛好家がリストアップしたものではない、というのがミソってこと。
そう思ってリストアップされた書名を見ると「なるほど」と頷けます。

また紹介の文章も歴史作家(日本ではあまり聞き馴染みのないジャンルですが、英語圏では人気らしい)の著者が、子どもの本に詳しくない人にも興味をもてるような文章を綴っており、作家も本も知らなくてもおもしろく読めるのが、ふたつめのミソ。
本の文学史的な価値や意味から、のちへの影響などが書かれているのです。
あと書影(本の表紙画像)ももちろんカラーで掲載されていますが、いずれも原書なのも類書にはない特徴かもしれません。
書影を頼りに本(邦訳書)を探すのは困難でしょう。でも、もともとは「こんな顔していたのね」とおもしろがってみては?

日本ではなじみのない本(作家)も多々ありますが、それも興味の幅を広げてくれる一助、と捉えたいものです。
図書館には備えてほしい1冊ですし、個人で持っていてもパラパラ眺めて楽しめると思います。

*教文館から邦訳出版されているネズビット作、中村妙子訳『鉄道きょうだい』も紹介されています!おお! (す)

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