クリーンヒット⚾ フィクション
『エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード』
荻原規子 著
KADOKAWA 刊
2020年10月25日 発行
本体700円+税
294ページ
対象:中学生から

拾った小犬がしゃべった!? 「わしは八百万の神だ」

『空色勾玉』(徳間書店)や『西の善き魔女』(角川書店)シリーズなどの作品で多くのファンをもつ作者の新シリーズが、出版社をかえて刊行されました。

大学に合格した美綾は、父親の転勤に家族が一緒にいくことになり自宅に一人で暮らすことになります。
そこへ1匹のパピヨン犬が迷い込んできました。飼い主が見つからないので、そのまま世話をしているとある日、「わしは八百万の神だ」と声がした!?
なんとそのパピヨン犬は日本古来の神だというのです。
美綾はその神様にモノクロと名付け、奇妙な共同生活が始まりました……。

物語の冒頭はごくフツーの学園ものか?と思いきや、突如、小さい犬が神様という展開に驚かされました。しかし読み進めるうち、その不思議な会話が心地よくなり「荻原ワールド」が広がります。当たり前の学園もので終わるわけがないのです。
パピヨン犬の口調がエラソーなのも可笑しくて、自然と笑ってしまいました。

ファンタジーと日常の境目は、こんなかんじにあるのかな、と思いました。
あなたの飼っている犬や猫も、もしかすると「神様」かもしれませんよ。

2巻目もまもなく刊行されそうですし、その続きも出るのかと大いに期待しているところです。(す)

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