ベスト👍 フィクション
『ケルトの白馬』
ローズマリー・サトクリフ 作
灰島かり 訳
ほるぷ出版 刊
2020年1月 発行
本体1,600円+税
176ページ
対象:小学校高学年以上
バークシャーの地上絵「アフィントンの白馬」をめぐる物語
イギリスを代表する児童文学作家のひとりローズマリー・サトクリフ。バークシャーに広がる丘陵地帯を舞台に、古代ケルト人が描いた巨大な地上絵「アフィントンの白馬」についてつづった物語が、うれしいことに新装版として復刊しました。
主人公のルブリンは兄たちとは異なる容姿と才能を持ち、そのことで虐げられる一方、明晰な頭脳と行動力で戦に負けた一族を救おうとします。敵の捕虜となったルブリンに与えられた条件、それは丘の斜面に巨大な馬の絵を描くこと――。果たしてルブリンはその条件を満たすことができるのでしょうか?
サトクリフは自身がハンディキャップを背負っていたこともあり、物語の主人公たちは心や体に傷を抱えていることが多くあります。
本品もそうした主人公が、しかしそのハンディに屈することなく成長しながら生きる道を探るストーリーで、サトクリフの物事の深層を明るみに出す腕はさすがなもの。
新装版は持ちやすい版型とより親しみやすい装丁なので(個人的には前のデザインも好きでしたが!)、今の子どもたちにもぜひ読んでほしいと思います。 (い)