クリーンヒット⚾ フィクション
『わたし、パリにいったの』
たかどのほうこ 作
のら書店 刊
2021年3月発行
定価1540円(税込)
48ページ
対象:5歳から
おねえちゃんといもうとの、ちいさなおはなし。
はなちゃんとめめちゃんの姉妹は、パリに行った時の写真を見るのが大好き。といってもその時、妹のめめちゃんはまだ、お母さんのおなかの中にいたのですけれどね。
アルバムを見ながらはなちゃんがめめちゃんにその時の話をしていると、時に先回りしためめちゃんが「しってる。……だったんだよね。」と言います。何度も写真を見ているうちにはなちゃんの話を覚えてしまったのかな?
ところが、めめちゃんたら「わたしも いったから しってるんだよ。」と言うのです。なんと、お母さんのおなかの中にいためめちゃんは、お母さんのおへその穴からみんなのことを見ていたのですって!
たかどのほうこさんというと『まあちゃんのながいかみ』や『みどりいろのたね』『おともださになりま小』や『ポンちゃんはお金もち』など、子どもの想像力がはじけるような愉快な作品がいくつも思い浮かびますが、どのお話も作者の中に本物の小さな子どもがいることが感じられるものばかりです。決して頭で考えて「笑わせてやろう」などという下心はないに違いない、だからこそ一見とんでもないようなお話でも気持ちのよい笑いに包まれるのだと思います。
ご本人によるイラストもとてもかわいらしくておしゃれ! 春にぴったりのウキウキするような作品です。(か)
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