ベスト👍 岩波ブックレット
『福島人なき「復興」の10年』
豊田直巳
岩波書店 刊
2022年3月4日 発刊
定価1,100円(税込)
111ページ
対象:中学生から
絶対に忘れてはいけないこと、忘れ去ってはいけないこと
福島の原発事故から今年で11年。人の意識も年々薄れ、福島出身である私自身でさえも
あの頃の切羽詰まる思いからかなり離れてしまいました。(なんと薄情なことでしょう。。。)
でも、11年間変わることなく「福島」に寄り添い、通い続け、発信し続けている人がいます。
豊田直巳さん。
原発事故被災地の人々のゲンジツを写真と文章で描きます。
「復興」を錦の御旗に掲げたオリンピック(結局はコロナに打ち勝つにすり替わったが……)の
元、「なかったこと」にさせられる人たちの声を豊田さんは、繰り返し繰り返し代弁します。
農文協の『それでも「ふるさと」』シリーズ(『牛が消えた村」で種をまく』で、飯舘村の酪農家として
故郷を守り続けた長谷川健一さんは去年の10月に亡くなりました。甲状腺がん。まだ60代でした。
兵庫県から浪江の津島に通い続ける菅野みずえさんは言います。
「私、いま、どこの、誰なんでしょうね。いえ、私だけじゃなくて全国ちりぢりバラバラになって、
「自分はどこの、誰なのさ」って思っている人がたくさんいるんじゃないか」
コロナやウクライナのこと
それぞれに、思いを馳せ、真剣に考えていかなければいけないことだが
私たちは、大きな何かがあると、すぐに先のことを忘れ去り、もう終わったことに
してしまう。
でも、いま、私たちが「フクシマ」を忘れ去るならば、それはやがて私たち自身に
還ってくることを肝に銘じなければならないと改めて強く思います。
事故後11年を経た現在もなお、「原子力緊急事態宣言」は発せられたままなのです。
(く)
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