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『福島に生きる凛ちゃんの10年 家や学校や村もいっぱい変わったけれど』
それでも「ふるさと」あの日から10年シリーズ(全7巻の最終巻)
豊田直巳 文・写真
農文協 刊
2021年3月
本体2000円+税
38ページ
対象:小学校高学年以上

あなたのふるさと、わたしのふるさと、そして「あの日」からのふるさと

日本一美しい村と言われていた福島県飯舘村。そこに200年以上も前、江戸時代から続く一家が暮らしていました。4世代11人の賑やかな大家族。あの日、長い歴史と思い出の詰まった家を、家族全員、集落すべてが追われることになりました。

2011年当時3歳だった大家族の一番小さな女の子凛ちゃん。
仮設住宅から、間借りの幼稚園、プレハブの仮設小学校に通い、やがて先祖から受け継いだ家を取り壊し、福島市内の新しい家に引っ越した凛ちゃん。次々と変わっていく家族と集落の10年間を、凛ちゃんの成長を軸に写真で追います。

著者の豊田さんが小学校を卒業した凛ちゃんに「ふるさと」について尋ねました。

「生まれた所は比曽。飯舘村なんです。そこにいたことがあるんです。でも今、私が思っている『ふるさと』は、まだないんです」
切ない言葉の半面で、大きな夢も語る凛ちゃん。

毎年、3月11日が近づくと、私たちは「あの日のこと」を思い出し、そしてまたきれいさっぱり忘れて過ごします。でも豊田直巳さんは、「あの日」から10年間、ずっと忘れることなく、写真と文章で私たちに「福島の今」を伝え続けています。

私も、折に触れ、”たくさんの凛ちゃんたち”の新たな10年に、思いを馳せたいと心に刻みました。(く)

 

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