📖 フィクション
『少年が見た戦争 戦争がわたしたちをみつめている 戦争文学コレクション1』
宮川健郎 編
三木卓、茨木のり子、宮沢賢治 他 著
汐文社 刊
2025年1月 発行
1980円(税込)
208ページ
対象:小学校高学年以上
戦争を見つめた作家たちの詩、児童文学、小説を集めた新シリーズ
今年は太平洋戦争が終結して80年となります。身近に戦争を体験した人たちは少なくなり、戦争の実態は遠いものとなってしまいました。しかし、世界を見渡せば戦火は絶えることがありません。まるで「戦争がわたしたちを見つめている」かのようだという危機感は、編者だけのものではないでしょう。今のところまだ私たちは戦争の当事者ではなく、過去の戦争も現在の戦争も客観的な立場で見ることができる状況にあります。戦争反対を声に出して言える今だからこそ、歴史を振り返ることが大切なのです。
このシリーズに取り上げられた作家たちはみな、戦争(第1次世界大戦・第2次世界大戦)を経験した人たちです。彼らが紡ぎ出す言葉と物語は、知識や想像ではない自らの体験を通して生まれたものであり、それゆえの重さと凄みがあります。歴史的背景を知らない現代の読者にとってわかりにくいものもあるかもしれませんが、“わかる・わからない”を越えて出会う必要がある本が存在するとすれば、この本はまさにその種類の本だと思います。子どもたちが手に取れる学校や図書館などに、こういう本があってほしいと私は思います。
戦争は理不尽です。個人がいかに軽んじられ暴力的に踏みにじられるか、その悲しみと憤りが少しでも心に残ったら、戦争を美化する言葉に対して警戒感が働きます。作家たちが物語にして伝えたかったことは、次の戦争を起こさせないように人々が強く賢くなることなのです。(か)
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