番外編ベスト 👍 『はいけい女王様、弟を助けてください』
モーリス・グライツマン 作
唐沢則幸 訳
横山ふさ子 絵
徳間書店 刊
1998年3月 発行
1485円(税込)
216ページ
対象:小学校高学年から

弟が死ぬなんてウソだ! ぼくがなんとかしてあげるからね。

オーストラリアに住む12歳のコリンは、4歳年下の弟ルークがクリスマスプレゼントに欲しがっていたおもちゃをもらえたのに、自分は学校用の靴しかもらえなかったことに腹をたてていました。弟ばかりがいい思いをしているようでむしゃくしゃしていた矢先に突然ルークが倒れ、治療不能なガンに侵されていてもう治らないのだと知らされます。「弟が死ぬ」というつらい現実を前に、両親はコリンをイギリスにいる親戚のもとに送ることにしますが、コリンは弟のガンも自分が遠ざけられることもどちらも受け入れられません。何とかして弟を治してくれる名医を見つけて連れ帰ろうと考えたコリンは、女王様に助けを求めることを思いつくのです。
何とかして女王様に会おうと早朝のバッキンガム宮殿に忍び込もうとしたり、それが失敗に終わると今度はガン専門病院で回診中の医者に直談判を試みたり、コリンの子どもらしい突撃ぶりは深刻な背景があるにもかかわらず思わず笑ってしまいます。そんな中、ガン病院で知り合った青年テッドとその恋人が最後の時間を支え合いながら過ごす様子を目の当たりにし、自分の果たすべきことを自覚したコリンが最後に実行したこととは……。

子どもは時に、大人が思う以上に物事の本質を見抜く力と、つらい現実に立ち向かう勇気を持っているのかもしれない――そんなことを教えてくれる作品です。(か)

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