番外編ベスト👍フィクション
『パン屋のこびととハリネズミ ふしぎな11のおとぎ話』
アニー・M・G・シュミット 作
西村由美 訳
たちもとみちこ 絵
徳間書店 刊
2013年11月 発行
1540円(税込)
206ページ
対象:小学校低学年以上

オランダの国民的作家による、ふしぎでたのしいおとぎ話集!

パン屋さんには、まるい白パンのように色が白く、白い上着を着て白いぼうしをかぶり、とがった耳をしている”こびと”が住んでいます。その名は「パン生地こびと」。
どんなこびとかというと、ゴキブリやネズミを追い払ったり、パン生地ののこりくずを食べたりしてくれる、いいこびとです。パン屋さんはみんな、パン生地こびとを大事にしているのですが、パン屋のトリップさんだけはちがいました。トリップさんは、気むずかしく、文句ばかり言う暗い性格の持ち主。パン生地こびとがのこりくずを食べているのを見ると「この、ハリネズミめ!とっととどっかへ行っちまえ!」と、怒りに任せて罵り、こびとを放りなげてしまいました。そんな仕打ちをうけて、パン生地こびとが気分を害さないはずがありません。
奇妙な出来事は、復活祭のパンをお客さんのために作ろうとしたときに起こりました。なんと、トリップさんがパンを作ろうと、まるめた生地をテーブルにおくたび、パン生地が生きたハリネズミになってしまったのです!その数、全部で23匹。お店の中では、パンを待つお客さんがイライラし始め、トリップさんは、泣き出していしまいます。見かねた奥さんが、夫のピンチを救おうと、ある行動にでましたーー。

本書は、こびとや魔法が登場する、ふしぎでたのしいお話が十一篇入ったおとぎ話集。 表題作のほかは「ヨリスとふしぎなブーツ」「ハミングこびと」「裁判長と魔法のぼうし」など、タイトルだけでも心惹かれます。「裁判長と魔法のぼうし」はとくに、思わず声に出して笑ってしまうほど童心にかえって読みました。大人が読むと、凝り固まった頭が柔らかくなるような心地がします。

作者アニー・M・G・シュミットは、本国オランダにおいて、彼女の作品を知らずに育った人はいないと言えるほど有名な作家。毎年5月になると「アニー・M・G・シュミット週間」が設けられ、シュミットの作品ひとつをテーマにした様々な催しがひらかれるそうです。
ページを開き、閉じるまでがあっという間に感じられるほど楽しい1冊であるのに、もう手に入らなくなってしまうのが残念でなりません。 当店で配布している「ナルニア国だより/ナルニア国の日直日誌Vol.294」でもスタッフⓀが紹介しているように”読み聞かせや朝の読書にもピッタリ”な作品です!大人が読んでも、もちろん楽しいですよ。手に入るうちに、多くの方の手に届いてほしいと思います。(み)

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