絵本から読み物まで、子どもの本の翻訳で大活躍の小宮由さんが初めて大人の小説の翻訳を手がけられました。主人公は『怪談』を記した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)です。今年は八雲の没後120年、そして代表作である『怪談』も出版から120年を迎えるとのことで、その記念で出版の運びとなりました。
子どもの時、怖い本の嫌いだった私は『怪談』も読んだことがありませんでした。大人になってからようやく恐る恐る読んでみた時、この作品がただの「怖い本」ではなかったことを初めて知り、不思議さと美しさに驚いたことを思い出します。1890年、明治時代の日本にやってきたハーンの目に“日本”という国がどのように映ったのか――この限りなく史実に近いフィクション(=伝記小説)が描き出す時代と人物を、秋の読書でじっくりと味わってみたいと思います。
小泉八雲の作品が今すぐ読みたい人にナルニア国がご用意しているのは、偕成社文庫の『怪談――小泉八雲怪奇短編集』(平井呈一 訳/880円:税込)です。そして9月には岩波少年文庫の『雪女 夏の日の夢』(脇明子訳)も久しぶりに復刊されます。この本の後半にはハーンのエッセイが掲載されており、彼が出会った人々や体験した日本の美しさなどが魅力的な文章でつづられています。この本を読んで「怖い本の人」のイメージが払しょくされた私としては、ぜひ皆さまにもおすすめしたいです!
そして、ここでお知らせです。新刊『黒い蜻蛉――小説 小泉八雲』の出版を記念して、ナルニア国では10月24日(木)に翻訳者の小宮由さんの講演会を開催します。翻訳を通して「日本人とは何か?」という問いを考え続けたという小宮さんのお話を、ぜひご一緒にお聞きしましょう! 詳細は近日中にチラシ・ホームページ等でお知らせいたします。
『黒い蜻蛉――小説 小泉八雲』ジーン・パスリー著/小宮由 訳/校正出版社 2750円(税込)
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